幽霊ものは見えない世界への扉を開く

エコーズの画像
『エコーズ』のケヴィン・ベーコンの演技は迫力満点。
ホラーといえば、日本では幽霊もののイメージがありますが、洋画作品の幽霊ものは、さほど怖くありません。『ゴースト ニューヨークの幻』は、ラブストーリーですし、『ゴーストバスターズ』シリーズは、コメディタッチ。こども向け作品『キャスパー』シリーズでは、幽霊が可愛いキャラクターになっています。幽霊ものといっても、おどろおどろしいものは多くありません。一連のスプラッター作品のように、血が流れたり、グロテスクな表現がない分、安心して見れると思います。

幽霊ものの映画は、いるはずのないもの、あるはずのない世界への扉を、ゆっくりと開いてくれます。私たちのほとんどは、幽霊を見ることはできませんが、見える人だっているわけです。

ケヴィン・ベーコン主演の『エコーズ』では、見えるはずがないものが、突然見えてきて、混乱してしまう男が、描かれています。「なぜ見えるんだろう? ここに現れる幽霊は、何を求めているんだろう?」と、次第に謎解きに夢中になっていきます。幽霊が見えない彼の妻には、それが理解できません。見えなければ「いない」と同じですよね。

幽霊が見える人と、見えない人の間にある溝。それぞれが、相手が見ている世界を想像することもできないのです。それって、幽霊がテーマでなくても、よくあることですよね。

ホラーではありませんが、8月12日から公開される『ユナイテッド93』は、2001年9月11日、ハイジャックされた航空機に乗り合わせた人々を描いた映画です。ハイジャック犯と乗客は、理解し合えない背景と目的を持っています。しかし、その両者を待つ運命は同じという悲劇の実話です。運命の残酷さ、恐ろしさ、そしてそれに立ち向かう姿が、感動的な映画です。

この場合は、地球の反対側に住んでいるに人に対してですが、相手が何を見て、何を信じて、何を考えているのか、どういう存在なのか。それについての想像性を、日ごろから私たちが持てるなら、このような悲劇を起こさせないこともできるでしょう。でも、それはなんて難しいことなんだろうと考えてしまいます。
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