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M-1グランプリ2005 その熱戦を振り返る

去る2005年12月25日に開催された「M-1グランプリ2005」日本中を巻き込んだその魅力とハイレベルな激戦を勝ち抜いた上位3組の特徴を分析してみます。

執筆者:金田 有朋


2005年12月25日、年に一度の漫才の祭典「M-1グランプリ2005」が開催されました。五回目となる今大会は史上最多の3378組がエントリー。恐るべしお笑い人口ですね。とはいえ私自身も予選が始まった9月からこの日を心待ちにしていました。今回はそんな「M-1グランプリ2005」を振り返ってみたいと思います。(ちなみに過去のエントリー数は、一回目1603組、二回目1756組、三回目1906組、四回目2617組でした。)

日本中を沸かせたハイレベルバトルの全順位

「M-1グランプリ2005」全順位
なるほど!こういう結果か。「M-1グランプリ2005」の気になる全順位は左をご覧あれ。
まずはザッと順位のおさらいから。(上位3組による優勝決定戦は除く。満点は700点。)
1位 ブラックマヨネーズ 659点(決定戦1位)
2位 麒麟 646点(決定戦3位)
3位 笑い飯 633点(決定戦2位)
4位 品川庄司 626点
5位 チュートリアル 622点
6位 千鳥 607点(敗者復活組)
7位 タイムマシーン3号 571点
8位 アジアン 564点
9位 南海キャンディーズ 552点

本番当日は本当にこれから人を笑わせる行為が始まるのか?というくらいの異様な緊張感。ただでさえ今大会は「本命不在」との予想が大勢を占めていたので、出演者のピリピリムードがブラウン管を通してこちらにも伝わってくるようでしたね。

しかし、さすがに決勝までコマを進めた9組(8組+敗者復活)だけあって緊張感を吹き飛ばすようなパワーとレベルの高い漫才バトルを堪能させていただきました。やっぱ決勝までくるようなコンビですから、みんな只者ではないですよ。ホントに。テクニックもキャラクターも多種多様で頭が下がります。本来ならば全コンビについて細かく紐解いていきたいところなのですが、いかんせんそれをしてしまうと「こち亀」くらい長くなってしまいそうなので、以下では優勝決定戦に残った上位3組を中心にスポットをあててみたいと思います。まずは「笑い飯」から。

「笑い飯」…異端児としての王道

混戦が予想された今大会において、私の本命は「笑い飯」でした。ある意味堅い予想ではありますが、私的に「笑い飯」は「優勝だけを狙ったら、優勝できる。」という思いがあったからです。世間的には、わりと「ネタの当たりはずれが多いコンビ」という見方をされていますが、交互にボケを繰り出すスタイルと彼らの能力・キャリアから考えて、ある程度「笑いの取り方」を心得ているはずです。

にもかかわらず「はずれネタ」が多いと思われがちなのは、彼らがそういった技術に頼らず常に新しいもの、他人がやらないものを求めているからだと思います。『誰かが思いつくような「笑い」は誰かがやればいい。「笑い飯」は「笑い飯」じゃ!』という自信とプロ意識を感じます。だからこそ逆に考えると「笑いを取る」ことだけに主眼を置いて漫才をすれば器用に優勝までたどり着ける気がしていました。

実際、抽選会で不運にも一番手を引いてしまったことにより、一本目のネタでは「優勝決定戦まで残る!」という目的意識がみなぎり見事3位に食い込みました。この時点で「あ、今回はいくな。」と8割方確信しましたね。しかし優勝決定戦が始まると、あらためて想像以上のプロ意識を感じました。「優勝を狙う」という目的にプラスして、「笑い飯」を曲げない判断をしたのです。ハッピーバースデイの唄をマリリン・モンローに発展させながら31歳の大人が惜しげもなく「バカ」をさらけ出す。とにかく一本気のある「バカ」なネタを、頂点を決める場に持ってきたわけですよ。Wボケという漫才界の異端児でありながら「笑い飯」としての王道をまざまざと見せつけましたね。あくまで自分たちの「笑い」で勝負しなければ意味がない、と言うかの如く。

これに関してはリアルに「優勝よりも大事なもの」を教えられた気がします。結果2位でのフィニッシュとなり、本人たちにはそれなりのジレンマもあるかと思いますが、私は「笑い飯」という存在がまたひとつ好きになりました。

さぁ、次のページでは「麒麟」と「ブラックマヨネーズ」の魅力を紐解きます。
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