公的年金には、万が一の場合の遺された家族に対する遺族保障という役割もある
遺族年金は、家族に万が一のことがあった場合に残された遺族の生活を国が保障する制度です。夫婦で家計を支える共働きの場合、妻に万が一のことがあっても、夫は遺族年金を貰えないということがあるのです。今回は、共働き妻が死亡した場合の遺族年金について解説します。
【記事のインデックス】
遺族年金はどんな制度?……1P目
共働き夫婦で妻が死亡した場合の遺族年金は?……2P目
同じ年収でも夫と妻で貰える遺族年金額は違う!?……3P目
遺族年金はどんな制度?
国民年金や厚生年金というと「老後の生活を保障する年金」というイメージを強く持たれている方もいらっしゃいますが、もう一つの役割として、家計主に万が一のことがあった場合に、「遺された家族の生活を保障する年金」という役割もあります。
家族全員がそろって健康でいれば良いのですが、家計主に万が一のことがあった場合のことも前もって考えておかなければなりません。そこで、今回は、「遺された家族の生活を保障する年金」としての遺族年金について解説します。
遺族年金には、大きく遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金保険)の2つの制度があります。この2つの制度について、支給対象者・年金額について整理してみましょう。
■遺族基礎年金(国民年金)
●支給対象者
死亡した者によって生計を維持されていた(1)子のある妻、(2)子
●年金額(平成21年度)
792,100円+子の加算
※子の加算
第1子・第2子 各 227,900円
第3子以降 各 75,900円
●寡婦年金
保険料を25年以上支払った夫が老齢年金等を受けずに死亡した場合で、婚姻期間が10年以上の妻に60歳から64歳までの間、夫が受け取る予定であった老齢基礎年金額の4分3の金額が寡婦年金として支給されます。
■遺族厚生年金(厚生年金保険)
●支給対象者
(1)妻
(2)子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
(3)55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から支給)
●年金額
加入期間中の給料を元に計算される平均標準報酬月額に加入期間数と一定の乗率を掛けて算出されます。加入期間が300ヶ月に満たない場合は、300ヶ月とみなして計算します。
※子のある妻、子は遺族基礎年金もあわせて支給されます
●中高齢寡婦加算
夫が死亡したとき40歳以上の子のない妻は遺族厚生年金に65歳まで中高齢寡婦加算がつきます。平成21年度の加算額は594,200円です。
●30歳未満の子どものいない妻の支給期間は5年間なので注意!
平成19年4月から、夫死亡時に30歳未満で子のない妻には、遺族厚生年金は5年間しか支給されなくなりました。5年経過後は、以降何も支給されず、自身で働くなどの自助努力をする必要があります。夫死亡時に妻の年齢が40歳を超えている場合は、中高齢寡婦加算が支給される上、遺族厚生年金の支給が続くのと比べるとずいぶん大きな差があります。
>>共働きの妻が死亡した場合の遺族年金はどうなる?