自動車保険の等級、家族間でも引き継げるって本当?
家族間で自動車保険の等級を引き継げるケースがある
そもそも等級は自動車保険と切っても切れないものです。任意保険に加入していればおそらくご存じの等級制度。一言で表すなら、「契約者の安全度に応じて保険料の割引、割増を決めるのが等級」です。
今回は、「家族間」で等級の引き継ぐ様々なケースを挙げて解説します。
→保険会社間における等級の引き継ぎはコチラ
等級を家族で引き継ぐメリットは
「保険料が大幅に安くなる」
ベテランドライバーの場合、等級が20等級前後で最大の割引率になっている人も多いはず。年齢条件も26歳以上に限定できていれば、かなり割安な保険料で任意保険に加入できています。ところが18歳のお子さんが免許を取って、車を新しく買い、自動車保険に新規加入するとなると、等級は6等級からのスタートで、年齢条件も全年齢担保……保険料はどうしても高くなり、20万円前後になります。こんなケースでは等級の引き継ぎをオススメします。お父さんの20等級を18歳の子どもが引き継げば、保険料がかなり安く収まるという寸法です。
簡単に試算してみると以下のような効果が見込めます。
●入替なしで保険契約した場合
親:20等級 保険料3万5000円
子:6等級 保険料18万7000円
→合計 22万2000円
●入替ありで保険契約した場合
親:6等級 保険料5万4000円
子:20等級 保険料8万8000円
→合計 14万2000円
上記の差額はなんと8万円! 等級や諸条件により変わってきますが、そのまま契約するよりもお得になる可能性が高くなります。
「子が初めて車を購入」or「親は車に乗らなくなる」はチャンス
それ以外に「同居」条件をクリアすればOK
家族間の等級の継承は、以下のいずれかである必要があります。●車を新規で購入した
「新規で購入」とは、いま乗っているお父さんの車のほかに、もう1台買うという場合。等級の入替はこちらが基本となります。車の買い替えは該当しません。
●いま乗っている車を廃車にする
「廃車にする」とは、お父さんの車が20等級にて契約中で、もう乗らないといった場合。等級を引き継ぐのは新規で取得した車に限りません。
これらを満たした上で、以下の条件に当てはまれば、家族間で等級を引き継ぐことができます。
●契約者の配偶者(内縁関係でも可)
●契約者の同居の親族
●配偶者の同居の親族
子どもは親族に含まれますが、あくまで「同居」が条件となります。もしも先々、親元を離れる場合は、同居しているうちに等級の引き継ぎをしておく必要があります。
同じく、契約者、配偶者の親族であっても別居している場合は引き継ぎ不可です。「自分はもう車に乗らないので親戚に等級を譲りたい」という場合も、等級を引き継ぐ親戚が同居していることが条件になりますのでご注意ください。
等級引き継ぎの手続きは意外にカンタン
家族で等級を引き継げば保険料はグンとお安くなります! 積極的に利用しましょう!
●親の等級を子どもへ引き継ぐ場合
1. 親の車Aから子どもの車Bへ、車両入替の申請をする
2. 車Bへの車両入替後、保険名義を親から同居の子どもに替える
3. 親の車Aは親の名義で任意保険に新規加入する
●自分がもう車に乗らないので親族(子ども含む)に等級を譲る場合
1. 大きい等級の車A(本人)とそれより小さい等級の車B(親族)で車両入替の申請をする
2. 同時に車Bの保険は解約(7等級以上の場合、中断証明書の発行を依頼)
3. 車Bへの車両入替後、保険名義を本人から同居の親族に替える
4. 車Aは廃車手続きへ移行する
保険会社によっては車検証の名義変更などが必要になる場合もあります。詳細は契約中の保険会社にご確認ください。
等級継承のルールは家族限定の補償範囲とは異なる
家族間の等級継承で、親の車は新規加入となりますが、年齢条件やゴールド免許割引、車両保険が不要……といった条件が重なれば、トータルでかなり保険料が抑えられます。機会があればぜひお試しください。なお、新規加入した親の車は子供が運転できない条件、つまり年齢条件を設定した契約のほうがより割安になります。実際にいくらになるかは保険会社で試算を依頼すれば、正確な金額が把握できます。
注意点として、等級継承と混同しがちなのが家族限定特約です。家族限定の補償範囲は「同居親族と生計を共にする別居の子ども」も補償されます(いわゆる学生など)。しかし等級の継承制度では、あくまで「同居の子ども」となりますのでご注意を。
もう一つの注意点が「事故有等級だから入れ替えたい」というケース。息子が事故で保険を使い、3等級になるので親の20等級と入れ替える、というのは通用しません。あくまで車両の新規取得、廃車、譲渡、増車、減車であることが必要です。