宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

雪組トップ娘役・白羽ゆり――退団(2ページ目)

2009年5月31日――雪組娘役トップ・白羽ゆりさんが『風の錦絵』『ZORRO 仮面のメサイア』千秋楽にて宝塚歌劇団を卒業しました。美しく艶やかに華やかに咲いた大輪の花でした。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

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研2の終わり、ショー『BLUE MOON BLUE』でのウサギ役で注目を集めました。研3でベルリン公演の選抜メンバーに入り参加。そして『更に狂はじ』みづのえ役でバウホール公演初ヒロインを射とめます。この頃からすでに大型娘役の片鱗をうかがわせていました。
白羽ゆりスペシャルブック Mon reve
(C)阪急コミュニケーションズ

本公演での初めての大役は『追憶のバルセロナ』のセシリア。トップ・絵麻緒ゆうさん、二番手・成瀬こうきさんの二人に愛されるほどの魅力を持った楚々とした男爵令嬢。

この公演で新人公演初ヒロインも務め、ストレイト・プレイの特別公演『花供養』では、専科・轟 悠さんの相手役に大抜擢。

しっとりとしたお嬢様風な役が多い中、コメディー『青い鳥を捜して』のブレンダでは「新進娘役がここまでやっちゃう?」と驚かせたほどのはじけっぷり。キュートで憎めないブレンダ役でファンが増えたとも。

そして2004年より阪急交通社トラピックスのイメージキャラクターも務めています。


星組に組替えとなりトップ娘役に。お披露目は、自身も憧れの役だったという『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット。
女王としての貫禄や威厳を強く感じさせた歴代のマリーとは違い、ふんわりとした色香と瑞々しさが溢れる白羽マリー。だからこそフェルゼンもルイ16世もあそこまで愛したのだ……と、白羽マリーが芝居を成立させてくれたものでした。
それは後のエリザベートでも言えること。


雪組に組替え。そして雪組トップ娘役に。
はんなりとした中にも芯の強さを見せた京の芸妓『星影の人』の玉勇。
堂々とした歌唱力と共に、少女~女~母親への年月を見事に出した『エリザベート』のエリザベート。
奔放で情熱的、ひらひらと舞う蝶々のような『カラマーゾフの兄弟』のグルーシェニカ……。


誰もが羨ましいと思うであろう彼女の1番の旨味、それは華やかさ。どんなに豪華なわっかのドレスにも負けない、登場するだけで人を惹き付ける天性の魅力がありました。

決して綺麗なお人形さんではなく、いたって人間くさい情感を出す人。型にはまらない面白さと大らかさ。しなやかで力強く、上品で妖艶。瑞々しい輝き。

また2名のトップの相手役をしっかりと務めた大型娘役の経歴や舞台での存在感とは逆に、娘役としての心根は、相手役に寄り添い慕う、とても古風でおっとりとした可愛らしい人でした。


尚、退団後も女優として活動の予定。すでに出演作品が決まっています。

『シェルブールの雨傘』
2009年12月5日(土)~12月28日(月) 日生劇場


彼女を形容するのに誰もが使う言葉――大輪の花。
輝きを放つ様は気高く咲き誇る花々のように多くの者を魅了させました。

となみちゃん……
お疲れ様。そしてありがとう。


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