表現をしていると言うより、想ったままがすべて音となり流れ出てきたかのような素直で強く深い歌に心が震えました。
美しくて瑞々しくてチャーミング。上品な生っぽさ。たまらなく魅力的で可愛い女性、アイーダでした。
『THE SCARLET PIMPERNEL』 (C)宝塚クリエイティブアーツ |
そして『THE SCARLET PIMPERNEL』パーシー・ブレイクニー 。
どれだけの拍手を返せば、この感動に値するのか……? 豪快で大胆で圧巻で、観る者を爽快な気分にさせてくれた至上のエンターテインメント。このパーシーが、安蘭けいの1番の当り役でしょう。
また宝塚歌劇の十八番『ベルサイユのばら』では、男役の主要キャストであるオスカル、アンドレ、フェルゼンをすべて演じました。この三役を本公演で演じたのは今のところ安蘭さんだけです。
安蘭けいならでは…の作品に恵まれ、安蘭けいだからこそ…の評価を受けてきた安蘭さんは、数々の賞も受賞しています。
2004年『雨に唄えば』と『王家に捧ぐ歌』の対照的な二役での優れた演技が評価され、第25回松尾芸能賞新人賞を受賞。なお現役生徒がこの賞を受賞したのは安蘭けいさんが初めてです。
団体としては、2003年、ヒロインを演じた『王家に捧ぐ歌』が「芸術祭優秀賞」を受賞。2004年、二番手として出演した『ロマンチカ宝塚’04』が同じく「芸術祭優秀賞」を受賞。2009年、主演した『THE SCARLET PIMPERNEL』が菊田一夫演劇賞を受賞。
また、ミュージカル専門誌「ミュージカル」における2008年ミュージカルBEST10の第一位に『THE
SCARLET PIMPERNEL』が選ばれ、ミュージカル女優BEST10の第一位に安蘭けいが選ばれました。
「いつでもトップスターになれる…」そう思われるだけの実力もスター性も持っていた人なのに、その時期が来るのは意外にも遅かった安蘭さん。
しかし、一本道ではなく回り道をしたからこそ、男役としての道も太くなり、そこまでの軌跡が長かったからこそ、感動の奇跡も生まれました。
安蘭けい。絶世の男役、最上のトップスターでした。