その翌年には本公演『ルートヴィヒ?世』で、トップスター愛華みれさんの婚約者の役・ゾフィーというソロで一曲歌う大役を与えられ、その可憐さと歌唱力のレベルの高さに、早くも期待が寄せられます。
2001年に宙組に組替えした後も、新人公演ではヒロインを演じ、本公演では二番手娘役のポジションで活躍。
愛する人のため命を絶つタマルのいじらしさに誰もが涙し、男を翻弄させる魅惑的な女性ゼルダでは大人の女役・彩乃かなみを感じました。宙組生として最後の役アリソンは、強さの裏にふと見せる女心を見事に表現。
ショーでも堂々としたエトワールぶりを発揮し、『満天星大夜總会』サソリではストーリー性のあるダンスが好評。
歌、ダンス、芝居の実力と鋭い感性の持ち主。清純かつ可憐で、華やかで艶やかで、優しさを与える娘役。
娘役トップのポジションを誰もが確信していました。
満を持して、2005年梅田芸術劇場メインホール公演『Ernest in Love』のグウェンドレン役で娘役トップに就任し、ベストコンビとなる月組トップスター・瀬奈じゅんの相手役に。本公演でのお披露目は『JAZZYな妖精たち』のシャノン役。
めちゃくちゃ可愛くキュートなグウェンドレン、匂い立つほどの情感を持った額田女王、美しく誇り高いカマラ、「こんなみほこちゃんも観たかった!」と思わせた恋に不器用な女性ヴェロニカ……
そして、最後の役となった『ME AND MY GIRL』サリーは、瀬奈じゅんのビルと共に、このコンビの当たり役となりました。
「一度ハートを失ったら」「顎で受けなさい」などの長いソロも、軽快で楽しいはずのシーン「ランベス・ウォーク」も、サリーのビルを想うそのいじらしさに、涙があふれたものでした。
(C)宝塚クリエイティブアーツ
|
この歌との出会いも、彼女を大きく変えたことでしょう。
まだ世間でブレイクしていなかった2005年1月17日「阪神・淡路大震災チャリティーコンサート」で初めて歌った――「千の風になって」――。
彼女の清らかで軽やかでのびやかで、空から降り注ぐ光のように輝く声は、この歌の歌詞が持つ世界を広げ、聴く者の心を揺さぶりました。
2007年12月5日フジテレビ「FNS歌謡祭」では、オペラ歌手・秋川雅史さんとのコラボも実現。大反響を呼びました。
「CD化を!」という声の多かったこの歌は、娘役としては異例のソロシングル「千の風になって」として発売中です。
時には艶やかに咲き誇る薔薇のように、時には清々しく凛として咲く白百合のように……
宝塚を代表する娘役として長年走り続けた偉大な足跡を、私たちは忘れません。
そして貴女のスマイルは、いつもみんなのハッピーを作ってくれましたね。
またいつか、その笑顔や歌声に再会できることを楽しみに…
みほこちゃん、お疲れ様。そしてありがとう。
■関連記事
タカラヅカ★6月の新譜~彩乃かなみ退団にちなんで