宝塚ファン/宝塚歌劇入門編

多くのスターを育てた「宝塚バウホール」(2ページ目)

宝塚大劇場の隣りにある宝塚バウホールは、今年開場30周年を迎えます。スターの登竜門的な存在であるこの劇場の公演形態、バウホールならではの魅力をご紹介しましょう。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

バウホール公演の魅力 観客編

最後列からでも舞台の隅々までよく見えるバウホールという劇場。
オケボックスや銀橋もないため舞台と客席の距離がなく、出演者がすぐそこに感じられ、表情まで感じ取れるのは魅力です。

また若手のファンの方はその活躍が楽しみであり、「バウ公演で○○さんのファンになった」という方も多いですね。

「これぞ宝塚!」な本公演とは一味違う作品を好む方も大勢。

ただ残念なことに、東京公演もある本公演とは違い、バウホールでしか上演されない作品も多く、また公演日数も少ないため「観たいのに観られない」「チケットが取れない」というファンの方もいらっしゃいます。
舞台中継のDVDも全作品発売されるわけではないので、まだまだバウホール作品の魅力をご存じない方も多いでしょう。


バウホール公演の魅力 生徒&スタッフ

生徒のこんな声をよく聞きます。「バウの○○公演によって芝居の面白さを知った」「あの作品が転機となった」……。
自身の好きだった役にバウホール作品での役を挙げる生徒さんも多い…。

それは、本公演には本公演でしか伝えられない魅力、本公演だからこそ学べるものがあるのと同様、バウにも“バウならではの・・・”があるからです。


●新しい作品に出演できる

今でこそ様々な劇場で特別公演が行われていますが、創立以前は本公演と、それを地方に持って行くというのがほとんど。
その本公演も、ひと公演の公演期間が1ヶ月でしたが、昭和50年3月より45日公演になり、各組、年3回から2回に減りました。

それがバウホールの誕生により、新しい作品により多く出演できるようになりました。


●若手の活躍

若手を起用する……出演者の人数が少ない……。よって、本公演ではセリフをもらったことがなかったり、出番が少ない生徒にも役が与えられ、活躍の場が広がります。

芝居、歌、ダンス…。本公演ではまだまだチャンスが回って来ないその実力を発揮する場にもなります。

本公演にも新人公演がありますが、それは両劇場合わせて2回だけ。バウではその何十倍もの公演回数になるわけですから、とてもいい経験、勉強になります。

そしてそのバウホール公演での経験が、本公演へとつながるのです。

「若手の活躍」と書きましたが、これは出演者全員、専科を含むどんな上級生に対しても同じことでしょう。

ただ、誰もがバウホール公演に出演できるわけではありません。
その作品により出演者が選抜されるので、一度もバウホールに出演したことがないという生徒もいます。


●新しい試み

脚本・演出を行う座付きの演出家は、まずバウホール公演を担当します。若手演出家にとってもバウは、勉強や活躍の場であるわけです。

スタッフにとっては、「多くの出演者」「大きな劇場」「初めて宝塚を観劇するお客様も多い」といった本公演より、冒険できるのがバウホール。

ファンの方々の感想で「○○先生(演出家)の作品の中ではコレが一番好き!」の“コレ”は、意外にも本公演作品よりバウ作品の方が多いのは、その演出家の個性が色濃く出ているからかもしれません。
その中からは、再演される名作、再演希望の声の高い名作もたくさん生まれています。

本公演は必ずトップスターが主役を演じると決まっていますが、そうした決まりのないバウでは、若手の男役のみならず、娘役が主演の作品も過去にはあり、実験的な新しい試みができるのも、バウならでは。

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