それは1934年雪組公演『ヂャブ・ヂャブ・コント』。当時は舞台袖からコードを引っ張って使用したスタンドマイクでした。
1950年代に入り、それがワイヤレスマイクに変わります。
細身ではあるけれど、ずしりと重たく大きなマイク。それをハンドマイクとして、または衣装に付けて使っていました。
やがて、音を拾う部分が小さいマイクが使用されるようになり、今から10年ほど前より新しいタイプのマイクも登場します。
今回は、現在生徒(タカラジェンヌ)が使用しているマイクの中でも、身に付けて使用しているものを中心にご紹介しましょう。
現在使用しているワイヤレスマイクは、電池の入った小さな箱のようなものから細いコードが出ていて、その小さな先端から音を拾います。
それをどこに付けるか……大きく2つに分けてみましょう。
顔に付けるマイク
ヘッドセットマイクとも呼ばれているこのマイク、電池部分は衣装の下、腰の辺りに隠されています。コードを体に這わせ、先端のマイク部分を額や頬に付けます。
ショーでは、ヘッドフォンのように頭にかけるタイプも使いますが、顔のどこかに付ける場合が多いです。
先端部分のコードは針金のように曲げ伸ばしが利くため、マイク部分の位置が好きに決められます。
マイク部分が思う位置から外れそうな場合は、根元を医療用のテープなどで固定します。
コードを背中から首、髪やカツラの中に這わせるため、装着には少し時間がかかり、安易に外すこともできません。
マイクさんや衣装部さんのサポートが必要。
付ける位置ですが、皆さんもご存知の通り、額に付けている生徒もいれば、耳から頬の辺りに付けている生徒もいますよね。
この違いは……早替りがしやすい位置であったり、カツラや髪型によって…という個々の事情や好み。
例えば……髪飾りが額に垂れ下がっている場合、そこにマイクがあるとぶつかってしまい、ノイズが入ってしまいます。そんな場合は頬に付ける方がいいでしょう。
頬に付けるより額の方が目立たないと思えば、その方がいいでしょう。
宝塚歌劇で顔に付けるマイクを使用するようになったのは約10年前『エリザベート――愛と死の輪舞――』の初演辺りからでしょう。つまり、歌が中心の作品からということ。
外部のミュージカルではそれ以前から使われていました。