東京すみれ会館 Part4
【173号 2004年6月4日】
シリーズでお届けしておりました「東京すみれ会館」のお話、今回が最後。
Part4は三階です。
三階には個室が4つほどありました。
寮生の中の最上級生より順番に入ります。
個室の中がどうなっていたか……住んだことがないので…よく知りません。
ちらっとお邪魔した記憶では……狭い! かなり狭かった。
でも個室は個室。
誰かといっしょの大部屋とは違い、ゆっくりとくつろげるのかもしれません。
そして稽古場がありました。
劇団の稽古場と比べるともちろん狭いですが、鏡貼りで、バーもあり、ピアノもありました。
ここで、新人公演の稽古を夜遅くまで…時には日付が変わるまで…しましたね。
自由に使えるので、個人的に何かレッスンしたり、余興(!)の練習をしたり…。
みんなが三階に行く一番の目的は、洗濯かな。
細長い洗濯室に、洗濯機と乾燥機が4台ずつほどありました。
舞台で使った下着類も含め、みんながほぼ毎日のように、ここで洗濯。
寮に帰ってくる時間はまちまちだけど、4台ずつしかないわけだから、当然「順番の奪い合い」という状況になります。
これは上級生順ではなく、早い者勝ち!
各洗濯機&乾燥機にメモが置いてあり、それに順番を書き込んでいました。
自分が使い終わると、次に名前が書かれてある生徒に「洗濯機、空きました~」と教えてあげるという、なんとも可愛い方式。
洗濯室の横の重たい扉を開けると、そこは屋上でした。
洗濯の物干し竿もあり、かなり広いスペースでした。
わずか三階の屋上ですけど、東京の夜景がキレイに見えました。
一人で夜景を見ながらたたずむ人とか……
パジャマ姿でダンスのレッスンをする人とか……
深刻な相談事をしている人とか……
ケンカをしている人とか……
特に厳しい規則がなかった寮だけど、みんなそれぞれ悩みもあり、周りを気にしないで誰かと話したい時もあれば、「一人になりたいなぁ……」と思うことは当然。
この屋上には、私もよくお世話になったっけ。
と……すみれ会館のお話をかいつまんでして参りましたが、この辺で終わりに…
あっ! そうそう! 最後に。
「すみれ会館、懐かしい…」というメールをいくつか頂戴いたしました。
「寮まで生徒さんをお見送りした」「面会に行き、サインをしてもらった」「荷物を、三階の稽古場まで運んだ」などなど。
「お見送り」「面会」はおわかりと思いますが「荷物を、三階の稽古場まで運んだ」について補足しておきましょう。
Part3でもお話しましたが、東京公演中に使う私物は、劇団より寮に送られます。
でもその中には、東京公演中には必ず使う限定品もあります。
例えば……洗面器などお風呂グッズとか座椅子とか。比較的、大きなもの。
これらを毎公演、宝塚⇔東京間を移動させるのは大変だということで、東京のファンの方々が、次の東京公演まで預かって下さるんです。
寮に限らず、劇場も同じですよね。
ファンの方は生徒が上京する前に、それらの荷物を寮の中まで運び、千秋楽後は、引き取りに来て下さる…。
だから、寮の中に入ったことがあるファンの方もいらっしゃるわけです。
ファンの方にとってももちろんですが、生徒たちにとっても、東京すみれ会館での思い出は尽きることがないでしょう。
すみれ会館が大好きだった私は、楽しいことばかり思い出します。
(門限過ぎに、同期と寮を抜け出し、ラーメンを食べに行った思い出とか…ね。)
■関連記事
宝塚ファンメルマガコラムバックナンバー
■「宝塚ファン」メールマガジンは毎週金曜日朝に発行!
ご登録はこちらより