だから……一旦付けた“おかき”は、取らない。(う~ん、どうやって説明しようかしら?)

——ある公演で○○さんが着る衣装に「○○」という“おかき”を付ける。わかるね?で、その後の別の公演でその同じ衣装を●●さんが着ると「●●」という“おかき”が付く。
その時に、前回の「○○」という“おかき”は取らないの。「○○」の上に「●●」を貼るわけ。めくればちゃんと「○○」も見えるように。

その衣装を今までに10人の生徒が着たとしたら、10枚の“おかき”が付いているということ。その衣装を着た生徒歴代の名前が“おかき”によって綴られているわけ。“おかき”が歴史を物語ってくれているというか、そんな大げさなもんでもないが……。

さて、じゃあそれがナゼ「衣装合わせ」の時に便利かと申しますと——

新調でもなく一点ものでもない衣装を合わせる時、衣装部さんはこんなことを言う。「この中から、自分に合うのを探して、合わせてみて~」。生徒はその数着または数十着の衣装の中から、自分に合うのを必死に探す……そうだ! 今こそ“おかき”の出番だぁ!

いちいち衣装を着せ替え人形のようにとっかえひっかえ着て合わせなくても“おかき”を見れば“これが自分に合いそう”とわかるんだなぁ。“おかき”の名前——つまり、以前それを着た人を知ることによって“私はコノ人とサイズが似てそう”とね。

だから、お話したこともない他の組の生徒さんの体型を、結構わかっているということ。もちろん横で「その人のは、ちょっと大きいんじゃない?」なんて、衣装部さんもツッコンでくれるけどね。

たまに、以前の公演で着た衣装をまた同じく自分が……なんてのもある。自分の“おかき”が付いたのを探せばいいわけだから早い。そんなことも、何度かあったなぁ。

そう思うと——今公演中の『琥珀色の雨にぬれて』で「桜木」の“おかき”が付いた衣装を、誰かが着ている……ということです。なんだか……うれしいなぁ。ワタシの分まで頑張って、肩甲骨を伸ばしてタンゴってちょーだい!