下ごしらえ・下準備のポイント
主材料に合わせて切りそろえ、炒める順番に分けておくと、スムーズに調理できます
- 材料の切り方と大きさをそろえる……均一に火が通る。見た目がきれいに仕上がる
- 下味をつける……肉類や魚介類には下味をつけて、素材のおいしさを引き出す
- 必要に応じて下茹で、下揚げする……火が通りにくい野菜を茹でる。肉、魚を揚げる。生で炒めると青臭さが残る青梗菜などの青菜は、さっと下ゆでして青臭さを飛ばす
- 調味料を手近にそろえておく……料理によっては混ぜ合わせておく
おいしく炒めるコツ
下ごしらえと下準備がしてあれば、あとは強火で炒めて調味するだけです
- 一回に炒める量を多くしすぎない……材料全体を高温でシャキッと炒めるため
- 鍋をよく焼いて油を入れる……油の量は材料の表面に行き渡る程度
- 香味野菜を炒める……料理によって、ニンニク、ショウガ、ネギのみじん切りなどを炒めて香りを出す
- 強火で炒める……材料から水分が出るのを防ぎ、出た水分を素早く蒸発させるため
- 材料によって火加減を調節する……卵、炒飯、麺などは焦げやすいので中火。ニンニクなどを炒めて香りを出したいときは弱火~中火
- 火の通りにくいものから順に炒める……1つの葉野菜でも、茎の部分から先に炒める
- 混ぜたり揺り動かしたりしながら加熱する……焦げ付きを防ぎ、短時間で平均に火を通すため
- 炒め上がったらすぐに盛りつける……フライパンに入れたままにしておくと、鍋の余熱によって、料理がしんなりしてしまう。フライパンの鉄分によって料理が黒ずむ。また、フライパンの劣化を防ぐため。
「炒める」に関連する用語の意味と方法
■油をなじませる鉄製の鍋(フライパン、中華鍋など)で炒め物をする場合は、鍋を熱して多めに油を入れて、鍋を回して油をよくなじませ、余分な油をあける。樹脂加工の鍋ならなじませる必要はないが、鍋を熱してから油を入れる点は同じ。
■鍋肌から入れる
鍋肌とは鍋の内側面のことをさす。炒め物の仕上げに香りづけや風味づけ目的で、ごま油やしょうゆを鍋肌に伝わらせて入れるときに使う言い方。
■まわし入れる
野菜炒めやチャーハンのときに、酒やしょうゆをふりかけるように加えること。鍋肌に沿ってまわし入れる場合もあれば、しょうゆが焦げるのを嫌って、材料の上にまわし入れる場合もある。
炒めるメリット
- 一般的に植物性食品は軟らかくなり、動物性食品は硬くなる
- 水分が減少し、かわりに油が浸透して、油の香味が加わる。さらに焦げ目をつければ、焦げの風味も加わる
- クロロフィル(葉緑素)を含む青野菜は短時間の加熱で色鮮やかになる
- ニンジンなどに含まれるカロテンは油に溶けるため、体内での利用率が高まる
- 高温短時間の加熱なので、ビタミンの損失が少ない
- 炒めることによって甘味が増加し、糖質がカラメル化する (例:玉ねぎを炒めると甘くなり、その糖質がカラメル化して褐色になる)
- 炒める前、炒めている途中、炒めた後など適宜に味付けすることができる
ニラを強火でさっと炒めて色鮮やかに仕上げた「ニラと卵の炒め物」
最もポピュラーな炒め物「野菜炒め」の作り方
材料【2人前】
キャベツ…………200gもやし…………150g
人参…………少々
ピーマン…………1/2コ
玉ネギ…………1/4コ
ニラ…………1/2ワ
豚バラ肉薄切り…………70g
おろしニンニク…………小さじ1/4
塩…………2~3つまみ
コショウ…………少々
七味唐辛子…………少々
しょうゆ…………少々
サラダ油…………大さじ2
ごま油…………小さじ1
かつおダシの素…………小さじ1/3(または旨み調味料少々)
※野菜の分量はおおよそです。目安は片手でわしづかみ1回が1人前です
手順
1: 豚肉は一口大に切る。もやしはサッと洗って水気を切る。キャベツは3~4cm角に、ニラは5cmに、玉ネギは3mm幅に切り、ピーマンは細切り、人参はせん切りにする。※野菜の水気はしっかり切ります。全部の野菜を一緒に炒めたいので、火が通りにくい人参をせん切りにします
2: 中華鍋を熱し、サラダ油を入れて熱し、豚肉を入れて両面を焼き炒めする。肉が香ばしく焼けたところで野菜を2つかみ入れて炒める。
3: 鍋をふりながら炒め、全体のカサが一回り小さくなったら、ダシの素、塩、コショウ、七味、ニンニクを加えて炒める。 おろしニンニクの代わりにガーリックパウダーを使ってもよい。
4: しょうゆを回し入れ、ごま油を鍋肌から回し入れてサッと炒め合わせる。皿に移して出来立てを食べる。
ポイント
小さいフライパンしかない場合は、1人前ずつ炒めましょう。大きい中華鍋でも、2人前ぐらいがベストです。
炒め物の種類
麺をしっかり炒めて香ばしさを出すのがコツ!「焼きそば」
材料を油で炒める調理法。予備調理として炒めるものに「みじん切り玉ねぎの油炒め」「ルー」などがある。本調理としては「野菜炒め」「チャーハン」「焼きそば」などがある。
■炒め煮
材料を少量の油で炒めてから煮る料理。旨味が逃げず、油のコクが加わる。「きんぴらごぼう」「いり鶏」などがある。
ナスとズッキーニを炒め焼きして味付けする「ズッキーニとナスの甘酢炒め」
炒めることと焼くことをかねている調理法。鍋(フライパン)の中で食品が動く位の油を使って、揺り動かしながら加熱する。分厚く切った野菜を炒め焼きして火を通したりする。「ムニエル」「ハンバーグステーキ」などに用いる調理法。
■炒め揚げ
「鶏肉のメンチカツ」を炒め揚げしてヘルシーに仕上げる!
炒め物には中華鍋がおすすめ
炒める、揚げる、煮る、蒸すとあらゆる中国料理に使える中華鍋が便利
新しく購入するなら、大きめの鉄製中華鍋をおすすめします。これ1つで炒め物、揚げ物、煮物、茹で物、蒸し物、スープと、あらゆる中国料理が作れます。少しだけ揚げ物をするときには、少ない油で揚げることができて重宝します。
新しい鉄製中華鍋(フライパン)のおろしかた
鉄製と樹脂加工とでは、おろし方や使用後の洗い方などが違います
- 鍋にたっぷり湯を沸かし、沸騰したら湯を捨てる。洗剤をかけてタワシでこすり洗いして、鍋肌にコーティングしてあるサビ止めを落とす。これを2回くり返す。
- 布巾で水気をふきとって火にかける。
- 鍋が熱くなったら、使い古しの油を大さじ3ほど入れ、キャベツの芯、ネギの葉、人参の皮などのクズ野菜を炒めて捨てる。
- 湯で洗い流す。
- 布巾で水気をふき取り、火にかけて乾かす。
使用後の手入れのしかた
- 鍋が熱いうちに湯で洗う。(こびりつきがあればタワシでこすって落とす。鍋の劣化を防ぐため、洗剤は使わない、鍋底をなるべく水でぬらさない。)
- 水気をふき取り、火にかけて乾かす。