宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

星組トップ・稔 幸、星奈優里―退団(3ページ目)

2001年10月1日――名場面を数多く残した星組トップスターコンビ・稔 幸さんと星奈優里さんが、星組の仲間、大勢のファンの方々に見送られ、宝塚歌劇団を退団しました。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド

星奈優里さんは1990年花組公演『ベルサイユのばら』で初舞台。

初舞台後星組に配属。早くから期待の新人娘役と評される。

1993年バウホール公演『サタディナイト・ロマンス』では初主演の稔さんの相手役に抜擢される。

1994年雪組に組替え。新人公演、バウホール公演、本公演と着実に大役を果たし、1997年星組に戻りトップスター麻路さきさんの相手役――娘役トップスターの座に。

そして1999年『WEST SIDE STORY』で稔 幸&星奈優里のゴールデンカップルが誕生した。「いつの日かこの二人が、トップスターコンビになって欲しい……」という多くのファンの方々の夢がやっと叶ったのだ。

彼女の一番の魅力――それは何といってもダンス! 素顔はかわいらしくおっとりとしたお嬢様風だが、踊っている彼女は何色もの色を見せてくれた。踊るために作られた美しい体で、しなやかにセクシーに、烈しく柔らかく、時には男役よりかっこよく。

ダンスが抜群に上手く、そしてスタイルも抜群のこのカップルは、たくさんの名場面を残してくれた。『WEST SIDE STORY』のオータム・イン・ニューヨーク、『グレート・センチュリー』のタンゴ、『美麗猫』のミルキー・ウエイ、そしてサヨナラショーで踊った究極のボレロ。

ダンスシーンに限らず、恋人のような夫婦のようなこのベストカップルの数々の場面は、決して心から消えることはない。いつまでも――。

「出会ってよかった……」とお互いが心から思える二人。星組の一時代を共に築いてきた二人が、共に去っていった。虚構の空間をそれぞれの色で描き“いい舞台を創り上げる”という搭に向かって手を取り合い同じ階段を登っていた二人が、明日からは別々の“何か”を見つけるために歩き出す。

お疲れ様! そしてありがとう! これからもきっとどこかで光り輝いてくれる、星組の王子様とお姫様。私たちは想い出と確かな存在を見上げましょうか――。

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