そして舞台化粧。初舞台までにお化粧の講習会もあるし自分で何度も練習しますが、いざ本番となると思う通りにゆきません。つけ睫毛の付け方や眉毛のかき方には誰もが苦労します。
これこそ回数を重ねる慣れ。初舞台生が少々ヘタなのもしょうがありませんね。カツラやかぶり物、衣装の着方も上級生や衣装部さんに教えてもらい、少しずつ上達してゆきます。
ロケットだけではなく初舞台生にはやらなくてはならないお仕事、覚えなくてはならないことがたくさん。例えば……
●稽古中の小道具の出し入れ
テーブルや椅子、ベッド代りの長椅子、ティーセットなど、芝居に必要な小道具やセットを場面ごとにセッティングしたり上級生に渡す。
●自主稽古
演出助手の先生がいない場合、曲のテープをかけたり止めたりする。
●早替りの手伝い
大勢の上級生が一度に早替りをする時、衣装部さんの手が足りないので手伝う。
●本番での小道具渡し
自持ち(自分で管理する)ではない小道具、大きいもの。フィナーレで持つシャンシャンや剣、大きなカバンなどを出番前に上級生に手渡す。
これはほんの一例ですが、その他稽古場や楽屋でのその場その時に応じた挨拶や決まりごとなどが山盛りあります。
……と、こんなお話をすると“自分が初舞台を踏むだけでも大変なのに、そんな雑用までさせられてかわいそう……”と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、これが雑用ではないんですね。
挨拶から始まりすべて舞台に繋がる勉強になるのです。小道具を渡す時に相手の上級生が化粧のアドバイスをしてくれたり、曲のテープ係りとして居残った稽古場で上級生のダンスを見られたり。無駄なことはひとつもない。