宝塚用語「男役10年」とは
宝塚の男役が「男役」になるまで
声やダンス・動きで役作り
まず声。セリフを言う時、意識して低いトーンで話す。もともと声が低い人は楽だけど、そうでない人は発声などで低い声をスムーズに出せるよう練習します。歌も同じで、ファルセットで歌うことの多い娘役に対して男役は、低い音を地声で歌えるよう練習する。このようなレッスンは、音楽学校での授業から行われます。そしてダンスや所作(動き)。男役として踊ったり芝居をする時、女の子のようにかわいかったりナヨナヨしていてはちょっとね。いかに男っぽく踊るか、男っぽく歩くか。手を前に差し出す――たったそれだけのことでも、意識し、研究し、上級生を見て学ぶべきところは盗んだり、洋画なんかを見てラブ・シーンの勉強をしたり。努力とそれからセンスの賜物で、かわいい女の子が少しずつ「男役」になってゆくのでしょう。
男役を作り上げる上で衣装の着こなし方、化粧方法も重要ポイント
「衣装、化粧も芸の内」と言われるけれど、男役を作り上げる上で衣装の着こなし方、化粧方法も重要なポイント。化粧は眉毛を太くする、地色(ドーランの色)、口紅、アイシャドウや鼻立て(ノーズシャドウ)の色を娘役より暗い色にするなど。衣装に関しては肩パッドを入れる、胸をぺしゃんこに見せるための“胸押さえ”という下着(和装用の下着のような)をするなど、ここでも努力とセンスが大切です。一体誰が、男役になる人を決めるの?
ところで、じゃあ一体誰が、男役になる人を決めるのでしょうか? 私もよく聞かれました。「どうして娘役を選んだの?」って。私だって、できるものなら男役になりたかったぁ! でもって『ノバボサノバ』のソールで「はなせよぉ!」とか演りたかったぁ!(言うだけならいい!?) でも私は身長が低かったので、娘役になりました。これは誰かが――劇団や音楽学校の先生が決めるのではなく、自分で決めます。やはり身長が大きな別れ道でしょうか。努力努力の日々を送っている!
とにかく宝塚の男役はカッコイイ。竹の塚歌劇団よりカッコイイ。歌舞伎の女形の魅力に似ていて、異性を演じる魅力。ないものを創り出して現れる魅力、実世界に存在しないからこそ、さらに感じる魅力。男装の麗人と言われ続けた男役という宝塚のシンボルは、客席の皆様に夢を見せるために努力努力の日々を送っているのです。男役さん、えらいっ!
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