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落語とリンクする形式にチャレンジしてみました 『タイガー&ドラゴン』鼠穴の回(2ページ目)

『タイガー&ドラゴン』について記事をかかなくちゃね、と準備していたら、ふと「あんな凝ったのについて書くんなら同じ趣向にしなくちゃダメだろ」と気がついてしまいました。書いた結果…やはりクドカンはすごい!

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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明日はもっとおもしろくなろう

大家族ものというのもめずらしくて、『池袋ウエストゲートパーク』と『木更津』はそれぞれ母親、父親だけ、『マンハッタンラブストーリー』では家族の影もないけど極端までいって、別の極端にいってしまったんですかね?

クドカンも子供の頃「昨日より俺はおもしろくなきゃいけない」と思っていて学校いくのがプレッシャーになって調子悪くなったこともあるそうで、いまでも前作と同じことはかけない、超えなければならないと思っているらしいです。
だからこそドラマの常識を破るような作品が次々にでてくるわけでしょうが。

しかし『タイガー&ドラゴン』最終回近くになってくると虎児がヤクザである、というのが強くでてきてかなりハードになってきました。Vシネ的展開になっても「ほのぼのとした下町の方が好き」というメッセージはむしろ強くなっていますが、最終回に向けてどうまとめますやら。

えっ?さっきの落語はあれで終わりかって?あれで終わりじゃオチがありませんやね。


鼠穴後半・悪夢のようなできごとが

兄が酒を出してきたが竹次郎は火事がおきやしないかと心配だ。しかし兄がもし焼けたら自分の身代を全部ゆずる、とまでいったので泊まることにした。

しかし心配があたって火事で竹次郎の店は丸焼けだ。残ったわずかの金で商売を続けたがうまくいかない。悪いことは続くものでかみさんは病気になる。困って七つの娘を連れて兄に五十両借りに行くが、とんでもないと冷たい。「火事になったら身代を譲る」といったじゃないかといっても酒の上でのことだとけんもほろろだ。

それを聞いていた娘のお芳が「女郎になって金をこしらえる」というので泣く泣く吉原に売って二十両つくるが帰りにそれをすられてしまう。

もうどうしようもないと首をくくろうとした。ところが…
「竹、おい起きろ」と兄に起こされる。夢だったんだ。兄に夢を説明して土蔵の鼠穴が気になったので、というと「ははは、夢は土蔵(=五臓)に疲れがあるからだ」

ややこしいのは『タイガー&ドラゴン』だけじゃない

オチがよくわからない?まあ落語というのはそんなもんです。それに「睡眠・快眠ガイド」のところで勉強してしもらうとして…

夢で思い出しましたが『タイガー&ドラゴン』によく似たドラマで二十年以上前に『淋しいのはお前だけじゃない』というのがありましたな。そりゃもうおもしろいドラマで。

借金取り(西田敏行)と借金に苦しむ人々が、返済のため大衆演劇の一座を組み、最後はサラ金のオーナーであるヤクザの親分に復讐するというのがストーリー。
西田敏行、借金、古典大衆芸能(落語と大衆演劇)の三題噺で、ドラマの構成も登場人物が芝居を演じその芝居のストーリーが本筋にリンクしてくるところまで『タイガー&ドラゴン』と同じだ。

クドカンもエッセイで西田敏行のことを「西田敏行といえば『淋しいのは…』」と書いてたし、ベースなのは間違いねえ。西田敏行も『タイガー&ドラゴン』スペシャルについて「終わっても誰一人として帰ろうとしなかった空気感は『淋しいのは…』以来」だといってたし。

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