第3位『くまのプーさん』のはちみつ
ディズニーの「プーさん」に親しんでいる方は多いと思いますが、本当の「プー」はあのようにちょっぴりドジで気のいいおじさんではなく、クリストファー・ロビンを崇拝し、いかにも幼児らしい発想で動きまわって失敗する、幼子です。それを見るクリストファーも、「ばっかなクマのやつ」と得意そうに言って子どもらしくお世話したがる小さな男の子。学校に入る前の空想と玩具のないまぜになった夢のような世界が百町森なのです。
だから、ディズニーではなく、ぜひミルンのお話で「プーさん」に出会ってください!作者のミルンの語りの声が入ってくるので、読み聞かせはやりにくい部分があるのですが、一家に1冊あれば、シェパードの繊細な挿絵と封じ込められた子ども時代に何度でも出会えます。
プーさんの大好物がハチミツです。風船につかまって、空になりきってハチの巣に近づこうとしたり、朝ごはんはハチの巣に薄くマーマレードを塗ったものであったり。どんなときでも、食べ物のことや大好きなハチミツのほうへ考えがいくところがプーの愛嬌ですね。
■『クマのプーさん全集―おはなしと詩』
作:A.A.ミルン
絵:E.H.シェパード
訳:石井桃子・小田島雄志・小田島若子
出版社:岩波書店
出版年:1926,1928/1940,1997.11
価格:7,980円(税込)