絵本/海外の絵本・外国人作家の絵本

しかけと色彩!エリック・カールの絵本(5ページ目)

エリック・カールさんの絵本をたっぷりご紹介します。迫力満点の動物の絵本や、詩的なリズムのある絵本など、どれも読み応え満点です。

執筆者:鈴木 宏枝

お母さんの優しい声『カンガルーの子どもにもかあさんいるの?』

「カンガルーの子どもにもかあさんいるの?」という子どもの声に答えるように、1ページ目から「ええ、もちろん、カンガルーの子どもにも かあさんは いるわ。あなたと おなじよ。」と始まります。では、ライオンは?キリンは?ペンギンは?

見えない子どもとお母さんのやりとりがぱあっと心に広がるような絵本です。最後の「それでどうぶつのかあさんって、子どもがすきなの?」という問いかけへの答えに、満たされるでしょう。お母さんに愛されているという確かな気持ちを、聞き手の子どもは感じることができます。

字体もカラフルで、見開きの中で絵と連動していることで、ページ全体が目に飛び込んできます。ひつじの子どもには、『しりたがりやのこひつじ』を思い出しました。

■『カンガルーの子どもにもかあさんいるの?』
さく:エリック・カール
やく:さのようこ
出版社:偕成社
出版年:2,000/2000.7
価格:1,365円(税込)

ジャイアントパンダは希少動物
『パンダくん パンダくん なにみているの?』

ジャイアントパンダはハクトウワシを見ています。ばさっ、ばさっと飛び立つワシです。ハクトウワシはアジアスイギュウを見ています。どし、どし、どしと歩いています。

動物が動物のことを「見ている」様子が連鎖していき、最後は、おそらく月のぼうやである「ぼうや」がすべての動物が元気に活動しているところを上から見ています。

これら、ただの動物ではありません。クモザル、シロヅル、クロアシカ、マカロニペンギン。すべて絶滅の危機に瀕している野生動物たちです。動物園でおなじみの動物たちではなく、野生のままの動物を俯瞰し、保護への意識を高めようという意図のある絵本です。その政治的なメッセージの土台となるのは、カールさんの大胆で迫力のある動物たちの躍動する絵です。見開きいっぱいの鳥やカメやけものたちの姿には魅了されます。

■『パンダくん パンダくん なにみているの?』
ぶん:ビル・マーチン
え:エリック・カール
やく:おおつきみづえ
出版社:偕成社
出版年:2003/2004.10
価格:1,050円(税込)


エリック・カールさんは、来日した折にいわむらかずおさんと対談し、その後『どこへいくの?ともだちにあいに!』を出版するなど、日本とも関係の深い絵本作家さんです。『はらぺこあおむし』以外の絵本にもぜひたくさん親しんでくださいね!赤ちゃんへの初めての絵本にもオススメです。

<関連記事>
「絵本作家 エリック・カール 『はらぺこあおむし』から開始!」
(子供のための英語)
「根強い人気『はらぺこあおむし』が紙芝居に! 紙芝居!はらぺこあおむしの魅力」
(子供のための英語)

<関連サイト>
The Official Eric Carle Web Site (英語です)
エリック・カール スペシャルページ (偕成社サイト内)
『カンガルーの子どもにもかあさんいるの?』
ここで購入!絵本には描かれていない「子ども」の問いかけに答える形で、いろいろな動物にもみんなお母さんがいることを伝えます。語り口が優しいです。
『パンダくん パンダくん なにみているの?』
ここで購入!ジャイアントパンダ、ハクトウワシ、アジアスイギュウ。地球上で絶滅の危機に瀕している野生動物を順番に俯瞰していきます。
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