絵本を赤ちゃんがかじって食べる……
赤ちゃんの成長にはおもちゃや絵本が欠かせません。でも、おもちゃと同じように絵本を扱うと、絵本が泣いちゃうかもしれませんよ。
絵本にはおもちゃと同じ「役割」がありますが、必ずしも、赤ちゃんの怪力や小さな歯のがじがじ攻撃に耐えきれるとはかぎりません。また、2歳も過ぎれば、絵本をやぶいたりラクガキをしたり踏んだりしたときに注意もされない、というのはその子どもにとってマイナスになります。
子どものものなのだから、頑丈に作ったり、なめても平気なようにするべきだ、と消費者意識になる前に、絵本は本来、読んで楽しむものであることを、大人が心に留めておきましょう。小さい子どもを叱りつける必要はありませんが、やっぱり、絵本はやぶいてあたりまえ、ではないのです。
絵本をなめないで!
絵本をかじってしまうと、なかなか元通りにするのは大変。 |
もしぼろぼろになるまで絵本をかじってしまうなら、それは、与えてほったらかしにするには早いということです。ひざに乗せたり、横に並んだりして、絵本を読む「そぶり」「手つき」「声」「雰囲気」を伝えましょう。歯が生え始めでむずがゆいなら、歯がためなど、赤ちゃんがそのときに必要としているものを的確に渡すことも大事ですし、おなかがすいているのなら、ごはんやおやつにする必要がありますよね。
赤ちゃんのための絵本を選ぶときの第一の基準を「なめても安全なインク」にする必要はありません。内容や絵やご家庭の雰囲気にあった絵本を選び、大人のちょっとした努力と声かけで、かじらせないようにすることは可能です。かじりついたら、口からそっと離して、(興味を持っているのは確かなのですから)大人の声で1ページでも2ページでも読み聞かせてみましょう。
絵本をやぶかないで!
わざとでなくても、絵本がやぶれてしまうことはあります。そういうときは、丁寧に修繕するところを見せてあげてくださいね。「わざと」やぶるのはいけないことですよ。 |
やぶく前には、ページをくしゃくしゃにしようとしたり、にぎりつぶしたりする前兆がありますから、そっと手をおさえて、いっしょにめくってみましょう。やぶってしまったら、ご本に謝って、セロテープなどできちんと補修するところまで見せてあげてくださいね。
ご本を踏んだらいけません。こういう感覚は理屈ではなく身体化しておきたいです。 |
絵本にラクガキしないで!
ラクガキも見つけるとトホホ。絵心が刺激されてしまうのか、そこに紙とクレヨンがあれば描きたくなるのか…。大きくなればいい思い出なのでしょうけれども、借りた絵本や図書館の絵本だと青ざめますよね。 |
ラクガキは、絵本だけの問題ではないですが、消せるものなら消し、「ラクガキすると○○ちゃんの好きな△△の絵が見えなくなってしまって絵本が悲しくなる」ことを伝えましょう。図書館やお友だちの家の絵本や本を汚さないというのも大事な配慮です。せっかくお絵かきを堪能したのに、叱られたらその気分までだいなしになります。この場合は、クレヨンやペンの置き場所に注意、ということになるでしょうか。
絵本は本といっしょに
いつでもさっと取り出せるように並べておくとグー。 |
しまいこんであると、絵本をそのつど引っ張り出してこなくてはなりません。また、絵本=おもちゃ、という感覚が育ってしまいます。大人の本と同じ、出しやすい本棚に並んでいれば、絵本=本であり、整然と並んでいる大人の本をお手本にして絵本の扱いを覚えていけます。
いい絵本に触れさせたいのが親心です。 |
とある公共の場で表紙がもがれ、やぶかれているページもたくさんあり、補修もほとんどせずに放置された絵本がたくさん「子どもスペース」に置かれているのを見て、心をいためたのがこの記事の執筆のきっかけです。不特定多数の子どもがかかわる場所でのことだから、ある程度、絵本がいたむのは当然かもしれませんが、子どもにかかわる大人がまず、本や絵本を大切にする気持ちを態度で見せていきたいなと思います。
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