『シャーロットのおくりもの』ストーリー
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「春に生まれた子ブタは雪を見ることが出来ない」運命に怯えるウィルバーを母親のような愛情で励ましたクモのシャーロット。シャーロットは命の尊さを人間に伝えるため、クモの巣に糸でメッセージを浮かび上がらせてみせる。やがて奇跡のおくりものが……。(画像提供:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン) | 「発育不良」の子ブタのウィルバーは、はじめファーンに育てられ、次にファーンのおじさんのザッカーマンさんの農場の納屋で暮らしはじめます。そこで、ベーコンにされる運命を知り、嘆き悲しむウィルバーに話しかけたのがクモのシャーロットでした。シャーロットは、ウィルバーの疑問に答え、時に諭し、彼を導きます。そして、ウィルバーがベーコンにされないよう知恵をめぐらせ、巣に「とくべつなブタ」(some pig)「かがやかしい」(radiant)などの文字を浮かび上がらせます。
「奇跡」を見に、ザッカーマン農場に人々が殺到します。それでもウィルバーはベーコンにされそうです。季節はちょうど秋。ファーンはお祭りの品評会にウィルバーを出して優勝させ、ザッカーマンさんの気持ちを変えようと決めます。品評会でシャーロットが「ひかえめな」(humble)という字を巣に浮かび上がらせ、ウィルバーは特別賞に輝きました。ウィルバーの「とくべつさ」に気づいたザッカーマンさんは、ウィルバーをベーコンにするのをやめ、彼は晴れて生きのびることになります。
しかし、その陰でシャーロットは寿命を終え、静かに死んでいきます。命尽きる前にシャーロットが産んだ卵をウィルバーと納屋の動物たちは冬じゅう見守ります。やがて春がくると、たくさんの子グモが生まれました。
見どころ! かわいいウィルバー
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命びろいをしたウィルバーはファーンに大切に育てられる(画像提供:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン) | 一番の見どころは、ウィルバーの愛らしさでしょう。ガイドは英語&日本語版字幕で見ましたが、小さい男の子の声は、まさにウィルバーそのもの。やんちゃに泥の中をはねまわったり、無邪気に動物たちにいろいろなことをたずねたりするウィルバーの様子にぴったり合っています。
実は、作品には矛盾があります。「発育不良」のウィルバーは本来、殺される運命でした。それを「不公平」だと思ったファーンに救われ、大切に育てられます。同じ春に元気に生まれたウィルバーの兄弟である10匹は、おそらく燻製小屋行きに--ウィルバーだけを「とくべつなブタ」にしていいの?もっと踏み込んで、作品は殺していただく命そのもののことも描けたのではないでしょうか。
この映画はおそらく原作に忠実だからこそ、正面切ってこの疑問に答えてはいません。でも、たとえばウィルバーがファーンからミルクをもらう場面にちらりと登場する朝ごはんのベーコンや、ホロコーストを思わせる燻製小屋のたたずまいに、映像作品ならではのメッセージも、たしかに見え隠れしているように思います。
シャーロットの賢さ
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ウィルバーはクモのシャーロットというすばらしい友人に出会う(画像提供:パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン) | シャーロットは言葉を介してウィルバーと友達になり、言葉を用いて人間たちにメッセージを伝えます。むしろ、シャーロットこそ「とくべつなクモ」でしょう。シャーロットは、お母さんのようにウィルバーと話し、疑問に答え、命の循環を伝えます。この最高の友にして、最高の「書き手」であるシャーロットの造形も、映画の大きな見どころです。
クモというと気持ち悪さが先行します。シャーロットも最初は動物たちに冷たい扱いを受けます。でも、友達の欲しかったウィルバーは、シャーロットに名前をたずね、偏見なく仲良しになります。そんなウィルバーをいとおしく思うシャーロットの慈愛に満ちた大きな黒い瞳や、落ち着きのある丁寧で大人らしい話し方に、ガイドは思わず姿勢を正したい気持ちに。作者のホワイトはもともと、「ニューヨーカー」などにコラムを書く執筆者・編集者で、その美しくユーモアのある英語には定評がありました。ホワイト自身を思わせる「おとな」で「すぐれた言葉の使い手」であるシャーロットは、映画ならではの奥行きのあるキャラクターになっています。
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「シャーロットのおくりもの」英語/日本語/吹替用日本語本編:97分特典映像:88分2006年パラマウント映画税込み 2,599円ここで購入! | ■ スタッフ・キャスト
原作:E.B.ホワイト
監督:ゲイリー・ウィニック
ファーン・エラブル:ダコタ・ファニング
シャーロット(クモ):ジュリア・ロバーツ(声)
ウィルバー(子ブタ):ドミニク・スコット・ケイ(声)
テンプルトン(ネズミ):スティーブ・ブシェミ(声)
アイク(ウマ):ロバート・レッドフォード(声)
■ 特典- 監督、製作、監修者らによる音声解説
- フラッカのブタの物語
- ミュージックビデオ
- フォト・ギャラリー
- NGシーン
- 削除シーンと監督による解説
- 初回封入特典:ぴかぴかメッセージカード
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