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友達を大切にすることを学べる絵本【おすすめ7冊】

友達を大切にする話を描いたおすすめ絵本を紹介します。親友や仲間は、子どもの世界に欠かせません。たった一人のかけがえのない友達とのやりとりや、大勢で遊ぶ楽しさなどが描かれたおすすめの7冊です。お気に入りの絵本をぜひみつけてみてください。

執筆者:鈴木 宏枝

友達を大切にする絵本をご紹介

友達を大切にする絵本をご紹介

子どもにとって、パパやママという基地から離れて友だち関係を結んでいくことは、大きな成長です。ウマがあう同士でなんだか楽しくワイワイと遊ぶ。困ったときにはそばにいてくれる。心からの友達に恵まれる幸福や友だちの大切さを伝える絵本です。
 
<目次>
 

ジュラ紀に響く恐竜の声『だくちる だくちる―はじめてのうた』

『だくちる だくちる―はじめてのうた』
ここで購入!『だくちる だくちる―はじめてのうた』ジュラ紀の恐竜たちがかわした鳴き声は、初めて仲間を得た喜びの声でした。
ひとりぼっちのイグアノドン、その側で「だくちる だくちる」と歌う小さなプテロダクチルス。プテロダクチルスが自分のことを歌うように「だくちる だくちる」と鳴きます。イグアノドンがそれを聞いて、うれしくてうれしくてかけまわります。

ロシアの考古学者の詩を、童謡作家でもある阪田寛夫さんが文にし、長新太さんの絵がついて、すばらしい絵本になりました。時はジュラ紀、人間が生まれるずっとずっと前に生まれた「ともだち」の初めての歌です。イグアノドンが喜ぶ見開きページは、背後で噴火する火山のダイナミックさと連動して、まさに太古の喜びの迫力があります。なんだか涙が出そうなくらい遠い昔の、はじめての「ともだち」です。「だくちる だくちる」の歌を、仲間への共感として感じ取った、自分は物言わぬイグアノドンの心が伝わってきます。

■『だくちる だくちる―はじめてのうた』
原案:V・ベレストフ
文:阪田寛夫
絵:長新太
出版社:福音館書店
発行日:1993年11月
 

お日さまが見守る『わたしとあそんで』

『わたしとあそんで』
ここで購入!『わたしとあそんで』野原に出た「わたし」。静かに水を見ていると動物たちが寄ってきます。
野原に出かけた「わたし」が「遊ぼう」と手を差し出したり、つかまえようとしたりすると、カケスもウサギもヘビもみんな逃げていってしまいます。だけど、「わたし」がひとりで遊び始め、じっと静かに池のミズスマシを眺め始めると、みんな帰ってきて、バッタもカエルも「わたし」の側に近づいてきます。

「わたしが そのまま おとを たてずに じっとしていると、だあれも だあれも もう こわがってにげたりは しませんでした」

ここにはぐくまれる友だち関係には、ズカズカと相手の領分に入っていって、「友だちになろうよ」と言うようなずうずうしさはありません。仲間を得てとびきりうれしくなった「わたし」の幸せそうな表情と、そのまわりにいる動物たちの醸しだす、友達になりたて同士のぎこちない、けれど気持ちのいい空間が、この絵本の普遍性を物語っています。くすぐったいような「わたし」の表情は最高ですね。最初のページからずっと見守る太陽も素敵です。

■『わたしとあそんで』
作:マリー・ホール・エッツ
訳:よだじゅんいち
出版社:福音館書店
発行日:1955/1968年8月
 

笑顔がこぼれる『だるまちゃんとてんぐちゃん』

『だるまちゃんとてんぐちゃん』
ここで購入!『だるまちゃんとてんぐちゃん』 大の仲良しのだるまちゃんとてんぐちゃん。だるまちゃんは、てんぐちゃんのうちわや高下駄がうらやましくてしかたありません。
だるまなのに手も足もある、というツッコミはさておき、だるまちゃんとてんぐちゃんは、大の仲良しです。だるまちゃんは、てんぐちゃんの持っているうちわや下駄や長い鼻が羨ましくてたまりません。だるまちゃんのパパである大きなだるまどんは、だるまちゃんのために、うちわや下駄を用意しますが、だるまちゃんにはどれもピンときません……。

だるまちゃんとてんぐちゃんの満面の笑みに魅せられます。だるまどんも、等身大の父親として好感が持てます。こわもてだけど、子ども思い。最後にお餅で長い鼻を作ってあげたことで、面目躍如でよかったですね。だるまちゃんもてんぐちゃんと同じアイテムを手に入れ、ますます仲良しになります。素直に友だちを立てるてんぐちゃんは、いい子ですね。

■『だるまちゃんとてんぐちゃん』
作:加古里子
出版社:福音館書店
発行日:1967年11月
 

嫌い嫌いも、好きのうち!?『きみなんかだいきらいさ』

『きみなんかだいきらいさ』
ここで購入!『きみなんかだいきらいさ』「ぼく」はジェームズと親友なのですが、今日は、ジェームズのやることなすこと気に入りません。
「ぼく」とジェームズは、小学校の低学年くらいでしょうか。2人はいつも仲良しです。はじまりのページでは、ぽかぽかの日差しの中、2人は肩を組み、腰に手を回して一緒に歩いています。ところが、今日は「ぼく」の気持ちが収まりません。ジェームズったら、いばるし、貸してくれないし、砂まで投げるし! 親友だったけど、大嫌い。「きみなんかだいきらいさ」とジェームズに言いに行った「ぼく」。でも、そこで振り向きあった2人は……。

ラストの片方ずつのローラースケートと、ぶきっちょに半分ずつされたクッキーの「雑」な感じが、最初の絵のどこかおすましした友情に比べてぐっと男の子らしく、本物らしく思えます。

■『きみなんかだいきらいさ』
文:ジャニス・メイ・ユードリー
絵:モーリス・センダック
訳:こだまともこ
出版社:冨山房
発行日:1961/1975年5月
 

健気なこんに涙……『こんとあき』

『こんとあき』
ここで購入!『こんとあき』きつねのぬいぐるみのこんは、あきが生まれたときからあきの一番の仲良しです。
こんは、キツネのぬいぐるみです。あきのおばあちゃんが、あきの生まれる前にあきの家にこんを届けました。だから、こんはあきが小さな生まれたての赤ちゃんだったときからずっとあきの側にいて、あきを見守り、一緒に遊び、日々を過ごしてきました。あるとき、あきはこんの腕にほころびを見つけます。「さきゅうまちに かえって、おばあちゃんに なおしてもらってくる」と言うこんと一緒に、あきも慌てて旅仕度。2人で列車で出かけていきます。

こんには、おばあちゃんの心も込められているように思います。ぬいぐるみとしてのこんと、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言い続けて、あきの保護者であろうとするこんの重なりが巧みです。あきを守ろうとするこんと、こんを背負うあきとの深い絆は、涙を誘うほど健気。でも、しんみり進んだあとは、ほっこり! おばあちゃんの手にかかって元気になったこんが逃げ出すところでストーリーにリズムが生まれ、幸せな気持ちで本を閉じることができます。

■『こんとあき』
作:林明子
出版社:福音館書店
発行日:1989年6月
 

勇気を教えてくれたライオン『ラチとらいおん』

『ラチとらいおん』
ここで購入!『ラチとらいおん』弱虫を克服したいラチのところへ、絵の中から勇敢なライオンが飛び出してきます。
ラチは「せかいじゅうで いちばん よわむし」の男の子です。強くなりたい、強くなって飛行士になりたいなあと思っていたある日、強そうで大好きなライオンが絵から出てきて強くなるために特訓してくれます。

ラチが、どれほどらいおんから力を得て、「もうなにもこわがらない」ラチになったか。のほほんとしたらいおんの最後の表情もとても印象深いです。らいおんにはどんな精神性が込められていたのでしょう?強くなって飛行士になりたいラチが、強いライオンの絵から赤いらいおんを引き寄せたのでしょうか。ラチの求めに応じて実体化したらいおん。ラチを叱咤激励し、鍛えてくれるらいおんの心意気にジーンとなりますし、涙ではなく爽やかに「じゃ さよなら」と去っていくらいおんは、なんともかっこよいです。

皆さんにも、自分だけのらいおんがいるのではないでしょうか。

■『ラチとらいおん』
作:マレーク・ベロニカ
訳:とくながやすもと
出版社:福音館書店
発行日:1961/1965年7月
 

美しい夜の詩情『ぼくのともだちおつきさま』

『ぼくのともだちおつきさま』
ここで購入!『ぼくのともだちおつきさま』 お月さまに出会った「ぼく」は湖の上で楽しい時間を過ごし、家にもお客に来てもらいます。
漕ぎ出したボートの上で思いがけなく出会ったのは、三日月のお月さま。「きがつくと きみがいた」。2人は楽しい時間を過ごし、遊んだり、はしゃいだり。主人公は、「きみ」を家に連れて帰ります。

この絵本がいいのは、友達と出会って、たくさん素敵な経験を重ねていくことだけでなく、そこから次の出会いが生まれることです。友達の友達はみんな友達。「はじめまして」「こんばんは」。月並みな挨拶から始まる大切な関係が見事に描かれていて、最後の3人でのお茶のテーブルに、いつか自分も加われそうな気がします。ちょうど読者を迎え入れるように、主人公の向かい側は空いていますしね。

また、柔らかい色彩にもノックアウトされてしまいます。

『ぼくのともだちおつきさま』
作:アンドレ・ダーハン
訳:きたやまようこ
出版社:講談社
発行日:1987/1999年6月

『おやすみなさいをいうまえに』(ぼくのともだちおつきさま2)
小鳥たちを楽しませたいお月様がちょっと羽目を外してしまったり。「おやすみなさい」を言う前のとびきり素敵なお友達に、後半では立場が逆転するのが楽しいところです。

作:アンドレ・ダーハン
訳:きたやまようこ
出版社:講談社
発行日:2002年3月

『もうひとりのともだち』(ぼくのともだちおつきさま3)
「すてきなともだち」賛歌です。ぼくと、お月さまと、太陽とそして星。ダーハンの色彩は本当に美しいです。楽しげな「さんにんより よにん」の図を堪能できます。

作:アンドレ・ダーハン
訳:きたやまようこ
出版社:講談社
発行日:2002年7月

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