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子どもになめられる……父親の威厳を示すにはどうしたらいい?

家族と過ごす時間が少ないお父さん、家庭の中に自分の居場所がありますか? 威厳は持とうと思って持てるものではありません。子どもになめられるときはどうしたら良い? イキイキと自分らしさを出している父親の後姿に出るものです。

執筆者:鈴木 牧子

子どもになめられる……当てにされない父親

子どもになめられる……父親の威厳を示すには

小さな時間を見つけて触れあおう。子どもはお父さんのことを知りたがっている

Q:子どもたちは母親の言うことは聞くけれど、父親の私の言うことは聞きません。仕事が忙しくて子どもに関わる時間が少ないためなのか、バカにされているみたいに感じます。3歳の息子は自我が芽生え、反抗的な態度を取るようになってきました。どう接していいのかわかりません。なめられているように感じてしまい、先が思いやられます。下の1歳の息子までが父親の言うこと聞かなくなる前に、何とか対策を考えたいと思います。どうしたら父親の威厳を示すことができるか教えてください。
 

子どもへの対応は大人と同じには扱えない

A:家族のために一生懸命にお仕事をすればするほど、家庭で過ごす時間が少なくなってしまうお父さん、大変ですね。ご苦労さまです。

1歳半頃から3歳ぐらいまでの反抗期の子どもは、我を張るなどして扱いにくい場合がありますね。この時期は自我が芽生え、自分の要求を通そうと主張するのですが、なかなか親にうまく言葉で伝えられません。そのために自分の欲求が思い通りにならないときに、すねたり、泣きわめくなどの態度になってしまいます。

大人の感覚で対応すると「自分をバカにしているから?」と思いがちですが、子どもには「大人をバカにする」という発想はないのです。自分をコントロールできないもどかしさや、大人と同じにようにできない腹立たしさで、自暴自棄になっていると受け止めてあげてください。「お母さんの言うことは聞く」という状況は、子どもの言いたい気持ちをお母さんが上手に汲み取ったり、言いたい気持ちを代弁する能力が優れているからではありませんか?

幼児期の子どもに理屈の正論で指示・命令を出しても、なかなか言うことは聞いてくれません。まして、お父さんが過ごしている大人社会の上司と部下のようにはいかないものです。子どもの語彙が増え、言語が発達すると反発の理由が分かりやすくなります。親が子の言動の意味を読み取ろうと努力することで親子の理解が深まり、自我に目覚めた反抗期の嵐から抜け出していくのです。
 

父親は良きパートナーと母親に思われよう

子どもの写真を見せて話しかけている母親
忙しくて参加できない行事があっても、会話での参加を意識しよう。両親の仲良しは子どもの一番の幸せ
多くの時間を子どもと過ごしている母親から、父親の頑張っている様子や、長所を聞かされている子どもは自然に父親の存在イメージが広がってゆきます。「お母さんが大好きな人=お父さん」「母親が頼りにしているパートナー=父親」。家族なのですから前向きに肯定的に本音で語り合いましょう。母親の父親に対する接し方が、子どもに大きな影響を与えているのです。子どもとの関係に悩んだら、まず妻との関係を見直してみませんか?

妻が夫に話しかけた時には、面倒がらずに聴いてあげましょう。多くの場合問題の解決策を夫に求めているのではありません。母親として頑張って取り組んでいる状況を聴いてもらい「ご苦労さん、ありがとう」と受け止めて欲しいのです。夫に妻がコミュニケーションを求めても無理と諦めた時、家庭の中に父親の居場所が狭くなっていきます。

臨床心理士の河合隼雄先生は「母親の良きパートナーになることが父親の役目である。ただし至難のわざである。意識的な努力が必要です」と言っています。威厳は努力無しには獲得できないものであり、意識して目指す「目標」なのかもしれませんね。
 

上から目線はNGです

「家庭サービスをしてあげよう」という意識や「子どもと遊んでやらねばならない」と頭で考える行動はNGです。建前での行動は相手にしっかり見抜かれてしまい、かえって嫌われる結果になりがちです。サービスしよう!などという意識は捨て、本音でお父さん自身の好きなこと、得意なことなどを見せたり語ったりする方が喜びます。

子どもはお父さんのことを知りたいのです。偉そうなことばかり説教する父親よりも子ども時代の失敗談を話すほうが、親近感を持って近寄ってきます。子どもに迎合するのではなく「お父さんはこう思う」「おまえはどうなんだ?」と話しあえる親子関係でいたいですね。

父親と母親の子どもへの守備範囲はそれぞれ違っていいのです。接する時間が少ないお父さんが、バシッと叱るタイミングを空振りすることだってあるでしょう。でも、愛しているかどうかは子どもの年齢に関わらず伝わるものですよ。摩擦を恐れず、本気で我が子に接してみましょう。


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