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お稽古事を始める・辞めるベストタイミング(3ページ目)

自立した大人になるために、お稽古事を続けさせたい。子どもがお稽古を始める・辞めるにあたってのタイミングを見極めるにはどうしたらいいのでしょう?

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

受験勉強とお稽古の両立は可能?

特に中学校受験で浮かび上がってくるのが、この問題。「いままでやってきたお稽古を辞めるべきか否か」?小学校高学年ともなれば、お稽古を続けた年数もある程度長くなってきて、すっかり上達していたり、本人の趣味ともなっていたりして、辞めるのは忍びないことが多いもの。こういうときは、どうしたらいいのでしょう?

何十年も前、中学受験が「カンヅメ合宿にハチマキ」の詰め込み主義だった頃は、受験するのにお稽古なんてする暇はない!と言わんばかりの勢いでしたが、それも今は昔。最近は親の側も塾の側も心得たもので、小学校4年、5年生までは上手にお稽古と塾との両立を計る人が多いのです。

小学校6年生の1年間は我慢してほしい、というのが塾側の論理。塾としては受験間近の1年間は、子供を拘束してじっくり教える時間を確保させてほしいというのが本音です。

しかし、私が中学受験塾で教えていた中にも、自分が打ち込んできたバレエを受験勉強のために辞めるかどうか考えて、結局両立した女子がいました。その時に彼女が言ったのは、「受験勉強では私はその他大勢だけど、バレエでは主役になれるから」。まったくもって、その通り!彼女にとって大切なのは、自分とともに歩んで行く存在としてのバレエなのでした。

このように自分で決められるお子さんは、とても賢明で頼もしいものです。他にも、おうちの方針でピアノをしっかりとやり続け、受験勉強は小学校6年生からの数ヶ月で見事私学に進んだお子さんもいました。そもそも何かのお稽古に打ち込んでいるタイプのお子さんというのは、集中力も持久力も高いので、ある意味、受験勉強に向いているとも言えますね。

お稽古はお稽古、受験は受験と、どちらを優先するか、何を大切にするかはその親子の考えかた次第。完璧さえ目指さなければ、いつでもやり直せるという意味では、実はどちらも一緒です。子どもがどうしてもこちらを取りたいと言う、自己主張があるのなら、その溢れる意欲が自然と子どもを導いてくれるでしょう。

お稽古を長続きさせる秘訣は「休憩」

たとえば10年細々と続き、地区のコンテストにも出たことのあるようなお稽古。でも、子どもが「もう飽きた」、「スランプで、もう伸びないから辞めたい」などと言ってきたら、どうしますか?

辞めるのにはもったいない。一時的な気持ちで辞めてしまうのか、それとも子どもの意思を尊重するか。継続するか辞めさせるかで悩んだら。いったん「休憩」させるのも手かもしれません。

バイオリニストの千住真理子さんは、大学生の一時期、バイオリンを手放したことがあるそうです。天才少女と呼ばれ、バイオリンを夢中で弾き続けた娘が突然陥ったスランプに、母の史子さんは黙ってバイオリンを受け取ったとか。でも、真理子さんはある時期を経て、導かれるようにして再びバイオリンを手にしました。以後、現在に至るまでの活躍ぶりは、みなさんもご存知の通りです。

お稽古の内容によって、またそのお子さんによって、継続することが良い場合もあれば、決して継続する必要のない場合もあるでしょう。そのお稽古がなければその子どもがダメになってしまうというようなレベルの話ならともかく、人間が成長するのに「ねばならぬ」は不要。ただ、何でもすぐに辞めてしまう、根気に欠けるきらいがあるようなら、どこかで「継続することによって身につく自信」を体験する必要はあるかもしれません。

たかがお稽古、されどお稽古。親は寄り添い、子どもと話し、様子を見ましょう。自分の目を信じ、子どもを信じて、いつか「あのときやっていたお稽古がいまに生きている」と子どもが言ってくれたら、何よりですね。


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