あいまいな線引き その4: 心理的距離の近すぎる兄弟
若貴兄弟は、本来は兄と弟でありながら、相撲界への入門が同時ということもあり、マスコミでは双子のように取り上げられることが多かったようです。また、中学校を卒業してすぐに親を師匠とおかみさんと呼ぶ厳しい世界に身を置いたことにより、兄弟の一体感が強化され、心理的距離が近すぎるように感じられる面があります。
週刊誌などの情報によれば、自分の行動を相手がしたことのように話す傾向や、自分と相手の差を「異なる人格」として許容できない感覚など、「独立した異なる人格」という認識が薄いのかもしれません。こういった状態を、心理学用語で「絡み合い家族」と表現しますが、この自我の確立不全が、今のような状況を起こしている感があります。
貴乃花の、兄に対する苛立ちを見ても「自分がメディアで話しているのだから、相手もメディアに出るべき」という「同じ土俵に出るのが当然」という感覚を感じます。
結論:「学級崩壊」した花田家
かねてから、マスコミでスキャンダラスに取り上げられることの多かった花田家ですが、今回の確執騒動が大きくなったのは、二子山親方の死去が発端でした。
名実共に「強い父」として、花田家の権力をしっかり握っていた二子山親方の死は、花田家の秩序をこれまでかろうじて維持してきた、絶対的な父権の喪失を意味します。フタを押さえていた重い石がなくなり、パンドラの箱が開いてしまったようなものです。
この状態は、MCR(NPO法人・不登校引きこもり研究所)の吉田先生によると、学級崩壊に見られるメカニズムとよく似ています。生徒が教師の存在を無視して大騒ぎしたり、勝手に立ち歩いたりなどして授業の継続が不可能となってしまう学級崩壊は、前年度に「とっても良いクラス」と評判だったクラスに起こることも多いと吉田先生は考察しています。
そういったケースでの「良いクラス」は、実は厳しいベテラン教師などの秩序統制で押さえつけられていたものなのです。しかし、新年度にクラスごと持ち上がり、「おとなしくていいクラスだから大丈夫」と、担任が新任の教師などに代わった途端に、生徒たちは爆発します。
怖い先生はいなくなった。新しい先生が弱いのなら、このクラスは自分が、と多少自己主張の強い生徒を筆頭に、生徒たちは次々と「造反」していきます。これは、権力のヒエラルキーを保とうとする図式です。
このような事態を収拾するには、彼らを超越した権威が必要となります。権威なしには、生徒たちが納得しないからです。
若貴問題でも、双方が納得のできる権威を持った仲介者による仲裁があれば、解決に向かうかもしれません。あるいは法に訴えるなど、いずれにしても「権力」「権威」が必要となるでしょう。勝負事の世界ならではの、白黒ついてすっきりした結末がつくものと思われます。
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子どもの問題や家庭内のトラブル、また職場のトラブルなど、問題の解決の仕方には、一定のセオリーというようなものがあります。
夫婦の問題、子供の問題、親戚、ご近所、勤め先、等々、問題には様々な種類がありますが、「人間関係」にまつわる問題が一番やっかいで、あなたの心を痛めているのではないでしょうか。
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ご自分の働きかけ次第で、このような問題を解決に導けるのなら。ぜひ、自分でできる「短期/家族療法(ブリーフセラピー)」というカウンセリングの手法を学んでみてください。
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【講師】 武蔵野大学 通信教育部 人間関係学部講師
生田倫子
東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。教育学博士、臨床心理士、家族相談士。家族心理学、心理面接過程におけるコミュニケーションを研究。
臨床活動として、病院臨床・児童養護施設カウンセラー・スクールカウンセラー・被害者支援などを行ってきた。
連絡先:MCR(NPO法人・不登校引きこもり研究所)