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【引きこもる子供たち・1】ネット社会と子供 ネット引きこもり・親の対処法

ネットに病的なまでに依存し、問題を引き起こす子どもの出現。彼らはどうしてネットの世界に「引きこもった」のか。心理学者、生田倫子先生の実際のカウンセリング例から、それをひも解いてみましょう。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド



ネットは、将来的に子供たちの生活にとって欠かせない便利なツールとなります。高校や大学でも、さらに小中学校でも授業にパソコンを使うようになった現在は、学習や情報収集のための欠かせないツールであるといってもいいでしょう。

しかし一方で、ネットに病的なまでに依存し、問題を引き起こす子どもの出現が問題になっているのも事実です。彼らが何を考え、どうしてネットの世界に「引きこもった」のか。そしてカウンセリングでどのように解決策を考えていったのか。心理学者、生田倫子先生の実際のカウンセリング例から、それをひも解いてみましょう。

《監修:武蔵野大学 通信教育部 人間関係学部講師 生田倫子 先生》


≪INDEX≫
Page1 ケース1:ネットの対人ゲームにはまった14歳の少年/子供がネットに「引きこもる」理由とは
Page2 ケース2:掲示板・チャットにのめりこむ中1女子/保護者にできる具体的な対処法

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ケース1:ネットの対人ゲームにはまった14歳少年


《状況》
自分のランキングが上位になることに快感を感じ、学校から帰るとすぐ自室にこもってゲームを始め、夕飯に呼んでも生返事。そのうち、母親が「ゲームばかりしていないで勉強したら」と呼びかけたところ、突然「キレて」、母親をどなりつけました。少年がちょうどその時、500ポイント稼げる敵との対戦を行っていたのに、母親が邪魔をしたというのです。それからというもの、母親への暴言はエスカレートしていきます。成績も見る間に下がり、第3者が見ても目つきがおかしくなっていくような変化が見られました。

それから両親でNPO法人・不登校引きこもり研究所に、家族療法のカウンセリングに訪れました。
[家族療法(ブリーフセラピー)とは、カウンセリングの手法の一つで、本人以外からのアプローチで事態を動かしていくこともできるカウンセリング手法です。例えるなら、問題とされている本人が穴にはまっており、自分の力で出てこれないという場合に、周囲の人たちの力を借りて引っ張り上げよう、というイメージです。]

《生田先生のカウンセリング・アプローチ》
少年の父親は、「子育ては母親の仕事」として育児にはあまり関わっていませんでした。当然、少年とのコミュニケーションも少なかったのです。しかし、母親で引っ張りあげるのが無理なら、他に資源を見つけなければなりません。今回は父親へとシフトしました。

第一段階として、父親に少年と楽しくかかわることができることを探すように提案しました。すると、父親はゲーム会社のイベントに少年を誘い、少年も非常に楽しくイベントを楽しみました。また、次のイベントなど、共通の会話も出てきました。

次の段階として、少年のネガティブな行動を制限することを行いました。父親と少年が出かけたイベントの帰り道、
「ゲームをしすぎていることを心配していること」
「熱中するあまり母親への暴言や暴力を行うことは許されないこと」
を話しました。そして少年と話し合い、パソコンを個室からリビングに移動すること、時間制限を行うこと、という決まりを設定しました。そして母親にも、約束した範囲内ならうるさく注意しないよう、納得してもらいました。

パソコンがリビングに移動し、母親は少年が熱中するゲームのキャラクターについて質問したり、大事な山場では声をかけないようにしたり、クリアした少年が「やったぁ」等のポジティブな感情を発露した時には、一緒に「よかったね」と言葉をかける、などを心がけました。

《その後の経過》
半月たったころには、少年の顔つきはおだやかになり、母親への暴言はまったくなくなりました。ゲームへの固着もなくなり、パソコンでは、主に父親と次に行けるイベントに関するサイトを見るようになりました。

対戦ゲームというのは、少年が時間を制限された時点でゲーム上のランキングが落ちてしまうので、興味が冷めて中毒から脱することができたということです。

少年は、父親とゲーム会社のイベントに行くことを楽しみにしていることは続いています。その道中、父親が少年にどうしてあんなゲーム中毒のようになってしまったのか、尋ねました。すると、「学校ではがんばっても成績が上がらないけれど、ゲームはちょっとがんばればすぐに成績に反映するので、面白く感じた。でも今となっては、どうしてあんなに何時間もずっとゲームをしていられたのか、自分でもわからない」とのことでした。


【生田先生よりアドバイス】
子どもがネットにはまってしまっている場合、逆になぜそのような状態が起きているのかということを考えてみましょう。多くの場合、次のようなことがあてはまります。
1) 子どものネット環境を放任している。(目が届くところでやっているからといって、内容を全くチェックしていない場合もあてはまります)
2) 子どもにとって別の解決すべき問題が隠れていることに気づいてあげられていない。(例えば、友達グループとうまくいっていない、勉強がわからなくなっている、等、の問題が隠れていることがあります)
3) 子どもがネットにはまってしまうような要因が家族内にある。たとえば、夫婦の不和、嫁姑の確執等。(家庭そのものからの逃避行動として、ネットへの埋没がみられることがあります)

 
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