ホンモノのインターナショナルスクールへ入る関門とは?
メグは、赤ちゃんのときから母親が英語で接し、4歳にして海外経験も豊富なので、英語での生活には困らない。だがそんなメグでも、ある「関門」を目の前にして、両親は悩んでいる。
プリスクールを修了すると、外国人の子供たちはキンダーガーテン(日本の幼稚園に当たる1年間の教育期間)を併設しているインターナショナルスクールの小学校へと進学準備を始める。ショーンは、兄のジョッシュが通うアメリカンスクールに進み、レイチェルはこの園から一番近い、日本のミッション校のインターナショナルスクールに通うと言う。父親が英国人のエミリーは、渋谷のブリティッシュスクールだ。
メグの両親は、自分たちの海外経験が長いとはいえ、完全に娘を「インターナショナルスクールっ子」にするのにはためらいがある。
まず、日本語教育はどうするか。インターナショナルスクールで育った日本人の知人は、35歳にして日本語の新聞が読めない。海外での仕事が多い人なので支障はないようだが、本人も「大人なのに恥ずかしい」と言っていた。日本の歴史を知らない、漢字が読めない、日本人としてのアイデンティティーに欠ける、なんて批判する人もある。日本語教育を並行して受けさせる必要が出てくる。
それに何より、授業料がべらぼうに高い。年間200万円強、それに入学金や施設維持費、教科書代その他の諸経費も合わせれば、300万円を超してしまう。キンダーガーテンから高校まで通うなんてことになったら、12年以上は覚悟しなくてはならないが、海外の大学に進学したらさらに跳ね上がる。
娘がインターナショナルスクールに通うとなれば、授業内容も学校生活も親と学校間の連絡も、すべて英語だ。大学進学のための勉強だって、もちろん英語である。プリスクールで使われる、幼児向けの英語ならともかくとして、どんどんアカデミックな内容を高めていく英語に、最後までちゃんと親が対応できるだろうか。
それでもインターナショナルスクールに通いますか?
メグと同じく日本人の両親を持つ翔吾の母親に尋ねたところ、あっさりと「うちは近所の私立の小学校に進ませるわよ」と言っていた。「プリスクールはお稽古事と割り切っているから」。両親は日本人だが、母親がインターナショナルスクール育ちのハナは、母親と同じインターナショナルの女子校に通うという。そうそう、芸能人Dの子供は、昨年この園を卒業後、私立の小学校に「お受験」して入学した。「芸能人枠」があることを公言してはばからない学校だ。
一口に「インターナショナルスクール」と言っても、その内容は様々だ。規模の大小、歴史、教育メソッド、日本人受け入れのポリシーなど、各校ごとに違うといってもいい。だが一般的に、日本人の子弟にとって、名声のあるインターナショナルスクールはやはりハードルが高い。それは、日本の私立校を受験する時の考査と同じようなことで、親のステイタス(父親が外交官であるとか、企業の重役であるとか)や授業料の支払能力、何よりも「その子供がこの学校で教育されることの必要性」が密接に関わってくるからだ。
単なる憧れだけでは決して通うことのできない、覚悟の必要な選択肢、それが「インター」なのである。
⇒「インター入学したい?」
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《首都圏の代表的なインターナショナルスクール》
・聖心インターナショナルスクール
・ASIJ
・西町インターナショナルスクール
・サン・モール・インターナショナルスクール
・清泉インターナショナルスクール
・セント・メリーズ・インターナショナルスクール
・アオバ・ジャパン インターナショナルスクール
・東京・横浜独逸学園
・リセ・フランコ・ジャポネ
・The British School in Tokyo
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■関連おすすめサイト・記事・INDEX
・インターナショナルスクールってどうよ?「人気の本格バイリンガル教育」(All About ”子供のための英語”サイト)
実情をなかなか知る機会がないインターナショナルスクール。日本人でも就学する方がいますが、入学資格は?お金は?卒業後は?など疑問だらけ。今回はあらゆる角度からインターナショナルスクールに迫ります。
・「インター入学したい?」(All About ”子供のための英語”サイト)
インターナショナルスクール(外国人学校、国際学校)(以下インター)に入学を望んでいますか?インターに入学するには一定条件をクリアすることと、インターの生活を送ることによって起きることを了承しなければなりません。ここでは正式なインター入学について考えてみます。
・「インターナショナル幼稚園・保育園 プリスクール&キンダー(東京)」(All About ”子供のための英語”サイト)
東京都内の英語で保育するプリスクール、幼稚園、保育園のリンク集です。
・自分の子供は自分で守る覚悟を!「子供の教育、あなたの選択は?」
「長崎女児殺害」に「学習内容の3割削減」など、近年、子供たちを取り巻く環境は激的に変化。そんな不穏な空気の中、保護者までもが不安顔。必ずしも、いい大学が子供にとってベストな選択とは限らなくなってきた昨今、子供の教育を、その環境を、どう選べばいいのでしょうか?