「インター」=「インターナショナルスクール」。
かつては日本在住の外国人子弟に母国語または英語で母国の教育をする
私立学校として認識されてきたが、昨今は日本人の生徒が急増。
特に、芸能人など有名人の子弟が通うのでも知られる。
なぜ彼らは「インター」を選択するのか?その魅力と理由に迫る。



1ページ: バイリンガルな幼児の日常とは?/「バイリンガルに育てたい」日本人が急増。その理想と現実/なぜ「インター」がブームに?
2ページポルシェの助手席にチャイルドシートをつけて通学!?/芸能人が「インター好き」な理由
3ページホンモノのインターナショナルスクールへ入る関門とは/それでもインターナショナルスクールに通いますか?

バイリンガルな幼児の日常とは?


東京都内のインターナショナル・プリスクール(就園前保育)に通うメグちゃん(4歳、仮名)は、日本人の父と母を持つ一人娘だ。生まれたときから母親がほとんど英語で接し、父親が日本語で接するという生活をしてきたので、日本語・英語を共に理解し、自分でも喋ることができる。両親が「将来海外でも通用するように」と「恵(めぐみ)」と名付けてくれたので、英語の「Meg(メグ)」が通称だ。

朝10時に始まるプリスクールへ母親が車で送っていくと、エントランスにはアメリカ人のアン先生が待っている。「Good morning, Meg!」というアン先生の良く通る声のあいさつに、きれいな発音で「Good morning, Ann!」と返すメグ。母親がアン先生にあいさつをしながらランチバッグ(お弁当箱、ではない)を渡し、今日のアクティビティーである水泳の前に必ず日焼け止めを塗って欲しいと伝えている間、奥の教室から仲良しのショーン君が走ってきて、「Meg, do you want to see a beetle?(メグ、カブトムシ見る?)」と、手に提げた虫かごを見せてくれた。一緒にやってきたのは、翔吾(しょうご)君。「It's big, isn't it?(おっきいだろ?)」と、自分が獲ったかのように胸を張る。ここでは、日本人の子供も外国人の子供も共に英語で会話するのだ。


「バイリンガルに育てたい」日本人が急増。その理想と現実


【英語で子育て】
このインターナショナル・プリスクールは日本人が経営しているが、周囲に日本駐在の外国人ビジネスマン家庭が多いこともあり、生徒の約半数が外国人の子供たちである。スタッフも日本人と外国人が半分ずつ、全てコミュニケーションは英語だ。2歳から6歳までの子供たちがここに通っているが、途中で海外に転居したり、国内の他の園に転園する子供もいるなど、入れ替わりは激しい。入園する際には親の英語力がチェックされ、その基準に満たない家庭はやんわりと入園を断られてしまう。創立以来30年以上が経ったが、特にこの10年ほどで入園希望者が激増し、園児募集の季節になると園長先生は嬉しい悲鳴を上げると共に、頭を悩ませてもいる。

近年インターナショナルスクールが注目を浴び、入園希望者の7、8割を日本人の子弟が占めるようになってきた。だが、本人や両親と面接をして、入園生活をきちんと送れるだけの英語力を身につけているかを見てみると、基準すれすれやそれ以下の子供が多い。なぜ当園へ入園を希望するのかと尋ねると、「1年間、父親の仕事の関係で海外にいたので、英語を忘れないようにさせたい」はかなり真っ当な方で、「自分たち両親が英語が全くできないので、子供には英語を身につけてもらいたい」という親も。

「園生活を送るための最低限のあいさつや、語彙力がないと受け入れられないですよ。周りのお友だちは外国人のお子さんが多いですし」と園長先生は諭(さと)すのだが、親たちは「あいさつは入園までに教え込むから、とにかく英語に触れさせて、外国人のお友だちを作らせたい」と食い下がる。「日本に駐在で来た外国人子弟の方が、この園に通う必要性は高いから」という判断で、外国人子弟の入園を優先している園長先生だが、こういった日本人の親が増えてきたために、園児募集枠に「日本人枠」を設定することにした。



なぜ「インター」がブームに?


インターナショナルスクールは、昔から日本在住の外国人子弟を主な対象にして運営されてきたもので、歴史のある学校がいくつもある。だが1990年代から、首都圏を中心に「インターナショナルスクール」を名乗る小規模な学校が増え、志望者も急増した。

自身が帰国子女であったり、留学経験のある親など、海外経験の豊富な親が増えてきたこと、またインターナショナルスクール出身の「バイリンガル」有名人が注目されたこと、日本の学校の英語教育に親世代が不満を持っていることなど、要因はいろいろあると考えられるが、やはり時代の要請であったと言えるだろう。

ちょうどこの頃を境に、日本の公立校教育が「ゆとり教育」へと転換し、いわゆる「純国産教育」が批判的に語られ始めた。IT産業などの起業家で、海外の教育を受けた経営者が脚光を浴びたり、日本人の学者や研究者がより刺激的で充実した環境を求めて海外の大学に移ったりと、「頭脳流出」が取りざたされた頃でもある。

「国産教育」に対するアンチテーゼ、またはもう一つの教育の選択肢として、インターナショナルスクールに注目が集まった。海外でMBAを取得してきたようなビジネスマンが、自分の子供に与える教育としてインターナショナルスクールを考えたり、特に芸能人のように「手に職」、「一芸」で身を立てている親が、子供の個性を伸ばしたい、周囲とは違う教育を、と考えたりするのはもっともなことかもしれない。
「子供の教育、あなたの選択は?」

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