赤城智美さん。「アトピッ子地球の子ネットワーク」の事務局長をつとめ、全国の講演会や執筆活動を行う |
アレルギーを持つ保護者がどう学校と連携していくか、アレルギーがいじめにつながったなど、悩む保護者の方、必見です。
アレルギーといじめの問題
ガイド:最近、いじめの問題が世間で大きく騒がれています。アレルギーが「いじめにつながった」と言う内容の相談は多いのでしょうか?赤城さん:「いじめ」という言葉で、ひとくくりの表現にはできないのですが……。給食が始まると特に食物アレルギーの場合、除去食の問題が影響します。「周りと違うものを食べる」ことを心配される保護者の方は多いです。生徒間でアレルギーだからいじめにあうというケースは、「ない」とは言えませんが少ないです。多いのは、学校の対応から「給食を行う中で子どもに差が出てしまうことが結果的に、子どもの悲しい気持ちにつながっていること」ですね。給食の前提にあるのは、「学校給食が教育のひとつ」であること。任意ではないのですが、「食べられない子が教育としてどう食べるか」が大切です。
ガイド:そうですね……。学校給食は保護者の方にとっても大きな問題です。現状として今、どんな課題があるのですか?
赤城さん:学校でアレルギーの問題があった場合、対処方法が難しいため学校側や教師側から拒否されるケースが多々あります。それが結果的に子どものさみしい給食につながることになっています。理想的な方法は、メニュー表・材料表・添加物の情報などを事前に患者に渡し、食べられるものと食べられないものを○×などで明記。それを学校側に伝え、その時々で家から持ち込む方法です。
このやり方をとっている方は多いのですが、学校側から「問題があった場合、どこに問題があるか(原因の所存が)わからなくなる」などの理由から「持ち込みをやめて欲しい」と言われることがあります。そうすると例えば、スパゲティとサラダが給食のメニューの日には、除去する食品によっては、子どもの給食が「キャベツの千切りだけ」になってしまうケースがあるのです。また持ち込みは○でも、「給食用のおぼんは貸せない」などと言われるケースもあります。これも、責任を明確にするためや学校側からの安全を考えた末なのかもしれませんが……。
こうしたことが重なっていくと、子どもにとって結果的に学校に行くことがつらくなることになります。責任のみにとらわれず、子どもの豊かな食事をするために大事なことを考えて欲しいと思います。学校側では禁止していても、個人的に好意で教師や栄養士が協力してくれるケースがあります。しかし、この時も誤ってアレルゲンとなるものがアレルギーの子どもに混入するのなどの問題が起きた場合、勝手に行っていたその責任が教師や栄養士になってしまいます。「善意でする」ことだけでなく、学校全体で取り決め考える。このようなことすべてあわせ、「リスクコミュニュケーション(*注)」の考え方が必要になってくるのです。
*リスクコミュニケーション
定義として、「私達を取り巻くリスクに関する正確な情報を住民などの関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ること」。アレルギー問題の場合、平成13年の「アレルギー物質を含む食品に関する表示」が大きな例。アナフィラキシーを含む重度なアレルギー症状が出る場合を考えて食品に表示を義務付けしたもの。この話の場合、学校などでもリスクの高い子ども達に保護者と学校間で双方向の情報伝達を明確にし、継続して伝達する必要性をあらわします。食品の添加物や原産地の表示についてもまだまだこの点で改善が必要。