子育て/子供の性格

社会的指数を表すSQとは?子育てにおける7つのポイント

社会指数を表すSQは、子育てにおいて注目されている観点です。IQ(知能指数)、EQ(感情指数)については、聞いたことのある方も多いかと思いますが、社会的指数を表すSQの見方や意味とは何でしょうか? また、SQの高い子供を育てるポイントとは?

執筆者:松原 美里

SQ……社会的指数とは

SQ……社会的指数とは


いわゆる「頭の良さ」を表す指標としてよく耳にするIQとは、Intelligence Quotiant(知能指数)の略。そして近年話題になったEQはEmotional Intelligence Quotientの略で、「感情指数」や「心の知能指数」と呼ばれるもの。さて、そのEQの重要性を説いたダニエル・ゴールドマン氏が2007年に発表したSQ(Social Intelligence Quotient)が、最近様々な分野で注目を集め始めています。
   

社会的指数を表すSQって何?

社会的指数の高い子とは?

IQ・EQ・SQの違いとは?


なんだか難しそうですか? SQとは、「社会的指数」や「生き方の知能指数」などとも言われますが、簡単に言うと、人と人とをつなぐコミュニケーションの能力=社会性のことなのです。私たちの生活を思い出しても、親や友だち、先生や会社の仲間など、たくさんの人に囲まれて生活をしています。一方で、頭は良くても社会の中で人とやり取りをするのが苦手で苦労をする人もいるのではないでしょうか。そういった「人と上手に関わりながら社会で生きて行けるための大切な筋肉」がSQというわけです。
 

社会的指数(SQ)が高い子=空気が読める?

SQが高いと、相手の気持ちが分かる

SQが高いと、相手の気持ちが分かる


ではSQが高い子とは、どんな子のことをいうのでしょうか? 同調や共感の能力があると、人との関係の中で「いま、嫌な気持ちになっているな」「今はそっとしておいてほしいんだな」「この人と仲良くなるには、どんな風に声を掛けるといいんだろう?」などと相手の気持ちを想像することが出来ます。

また、人が集まった時に「今、これを言うにふさわしい場だろうか?」「雰囲気が悪くなっているな。どうしたらいいだろうか?」と、場の空気を読むことができるようになるのです。最近若者の間で「KY(空気読めない)」などという言葉が流行っていますが、SQの高い子は「KYR(空気読める)」な子だといえるでしょう。この能力は大人になってからも社会と関わる上で欠かすことが出来ないものです。

人は、人にしてもらったことから学びます。空気が読める子ども、人の気持ちが分かる子どもに育てるためには、ママや周りの大人が赤ちゃんに対して心理学で言う「表の道」つまり表面的な言葉だけではなく、「裏の道」と呼ばれる感情のやり取りを感じ取れるような関わりをしてあげることが大切なのです。
 

逆に社会的指数のSQが低いと……?

では、SQが低いとどうなるのでしょうか? キレやすい子に育ったり、共感のできない人間、人の気持ちの分からない人間、友達関係や信頼関係の結べない人間になってしまいます。さらにそれが行き過ぎると少年犯罪を引き起こしてしまう恐れも。

どうしてそんなことになってしまうのでしょうか? 悲しいことに、人間にとって大切な「愛情のこもった気持ちのやり取り」を経験していないからです。ダニエル・ゴールドマンの著書『SQ生きかたの知能指数』の中では、こうした興味深い事例もたくさん紹介されています。
 
事例を交えて分かりやすく紹介してくれているSQ(社会的指数)とEQ(感情指数)
SQは社会で生きていくために大切な、人との関係を作る能力
 

社会的指数の基礎は、乳児期の親子関係にあり

親子の間の共感と同調が子どものSQを育てます。

親子の間の共感と同調が子どものSQを育てます。


盛んに言われていることですが、特に乳幼児期における子育てが重要です。人の一生は乳幼児期の経験で決まると言っても過言ではありません。

赤ちゃんはアイコンタクトもスキンシップも何も身につけずに生まれてきます。私が保育士時代に関わった子どもで、被虐待や親からの愛情が薄かった子は、親とじっくり関わるという習慣がなく、人と目を合わせることにも時間が掛かりました。目を合わせて微笑み合う……ただそれだけのことも、人間は親からしてもらって初めて身につくものなのです。そういったやりとりは、人間の標準装備ではないのです。
 

赤ちゃんはママから笑顔を学ぶ

ママは普段、何気なく赤ちゃんに微笑みかけますね。赤ちゃんは、身近にいるママを真似ることで、表情や心の動き、笑顔、などを身につけていきます。

このときに大切なのは、目と目を合わせて、笑顔を返してあげること。ママが笑顔になった時、赤ちゃんの脳の中の情報を受け取る組織(=ニューロン)がその情報をキャッチし、同じような表情を作るように赤ちゃんの脳に指令を出します。そうして赤ちゃんが笑顔になった時、ママとの間に共感が生まれます。この共感の気持ち良さを赤ちゃんがたくさん体験することで、子どもが成長していく中でお友だちとの間に共感を感じて、友情が生まれたり、相手を思いやる心が成長していくのです。

0~1歳児の喃語のリズムも、ママとの同調した関係の中からお互いに感じ合い、「そろそろ会話が終わるな」というのを認識していると言われています。

アイコンタクトや喃語は代表的なものですが、この本の中で印象的なのは「母子関係とは、人間関係の個人授業である」としているところです。この時期の愛情のこもったママの関わりは、それだけ赤ちゃんにとって大切な人生の基盤になるということが言えます。それでは、普段の子育てでどんなことを心がければSQの高い子どもが育つのでしょうか。?
 

社会的指数(SQ)の高い子どもに育てる7つのポイント

何気ないやり取りの積み重ねが大事な時期なのです。

何気ないやり取りの積み重ねが大事な時期なのです。


「可愛いわが子には、大きくなったらお友達のたくさんいる、明るく朗らかな子どもに育って欲しい」「元気な子に育って欲しい」など、我が子の幸せな成長を願っているのではないでしょうか。その思いを現実のものにするにはどうしたらいいのでしょう?

1. アイコンタクトをたくさん取りましょう
赤ちゃんだけでなく子どもも、そして大人もアイコンタクトを通して、言葉にはならない感情をやり取りしています。そうしたやり取りの中で赤ちゃんは大人の「気持ちよい」「イライラしている」「うれしい」といった感情を学習していきます。

2. 表情豊かに関わりましょう
無表情な大人に育てられると、免疫力が高まらないという驚くべき実験結果がこの本の中で紹介されています。赤ちゃんは表情豊かに関わってもらうことで、自分の情動の管理能力を身につけていきます。それが後々の社会性へとつながっていくのです。

3. たくさん話しかけ、スキンシップをしましょう
親があまりスキンシップをしない家庭で育った子どもは、「他人は疎遠な存在だ」と感情を閉ざすようになります。その延長線上には、大人になった時に他人と濃密な心の関係を築くことを避けたり、距離をおいた付き合いしか出来ないようになります。我が子がそんな人生を歩まないよう、たくさん話しかけやスキンシップをし、温もりを感じさせてあげましょう。

4. 生理的な不快感を細やかに解消してあげましょう
虐待や育児放棄をされて育った子は、自分の気持ち悪さや気持ち良さを感じられる体験に乏しいため、相手の気持ちや不快感を感じることが出来ません。その逆で、赤ちゃんが日常感じている排便後の気持ち悪さなどに細やかに改善してあげることで、「気持ち悪い」→「取り替えてくれる」→「うれしい」→「気持ちがいい」という情動の変化を体感させることが出来ます。

5. 絶対的な安心感を持たせてあげましょう
子どもが「ママなんて嫌い」と否定的な言葉を使ったり、試すような発言をしても、「それでもママは○○ちゃんが好きだよ」「そんな気持ちなんだね」とやさしく受け止めてあげましょう。そうした姿勢から、子どもは人間関係の再構築を学びます。その後の「仲直りをする」「関係を修復する」という能力はここから学んでいくのです。

6. TVは長時間見せない
TVは確かに忙しい時にとても便利ですが、TV画面を通してのでのやり取りは赤ちゃんの心には届きません。赤ちゃんはその間、無感動な時間をただ過ごすことになります。私たちがTVを見て感動するのは、それ以前に親が自分に愛情を持って関わってくれた土台があるからです。TVは必要最低限にとどめましょう。
【参考記事】米国で発表!赤ちゃん教育ビデオ効果なし

7. 恐怖からの学習を
お子さんが怖い映画を見たり、怖い思いをしたときには、それを克服できるようになるまで、繰り返し寄り添ってあげましょう。「怖がりなんだから!」で終わってしまうと、その子は恐怖からの克服を学習できずに成長することになります。対処できるレベルから、少しずつ子どもに脅威やストレスを体験させていくことで、心の回復力を養うことが出来ます。
 

社会的指数は、当たり前のことにこそ大事な意味がある

記事を読んで「そんな当たり前のこと」「いつもやっている」と感じた方も多いのではないでしょうか?ですが、当たり前にやっていることほど、大切なことがたくさん含まれているのです。
「誰からも愛される笑顔のステキな大人になって欲しい」、そんな願いと明るい未来を思い描きつつ、お子さんとの過ごし方をもう一度見直してみてくださいね。

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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