赤ちゃんの夜泣きはずっと続くの?
眠っている時は天使に見える赤ちゃんも、夜な夜な泣き続けるとなれば、親も心身共にまいってしまいます。
小さく愛おしい赤ちゃんが泣きやまない姿をみるのは、親としてやりきれないもの。ましてや一日中、家事や育児をして疲れているところに、夜も何度も起こされ睡眠まで削られてしまうとなれば、心身ともにヘトヘトになってしまいます。
夜泣きに悩む親がまず思い出したいのは、「夜泣きはずっと続くものではない」ということ。「(株)エムティーアイ」の調査によると(*1)、夜泣きの開始時期は平均して「生後6カ月」から、終了時期は「生後13カ月」で、夜泣きの期間は約6カ月といいます。また、他の子に比べ、少しの物音や環境の変化でも目が覚めてしまいやすい子や、一旦泣きだしたら気持ちを切りかえにくい子もいるため、個人差が大きいのも特徴です。
<目次>
夜泣きメカニズムは?赤ちゃんが夜中に泣く理由とは
では、夜泣きの原因とは何なのでしょうか?赤ちゃんが夜泣くのには、まず、以下のような明確な理由がある場合があります。
- おむつが濡れている
- お腹がすいている
- のどが渇いている
- 布団が重たい、暑い
- 寒い
- 周囲の音が気になる
- 眠りにつく前触れのぐずり
- 体調・気持ちが悪い(火がつくように泣いていたら、念のため病院へいきましょう)
次に、日中の過ごし方に理由があることもあります。All About子育てガイド高祖常子さんの「夜泣きとは?原因・対処法・いつから・いつまで」でも紹介されていますが、例えば、以下のような場合です。
- 昼寝が長すぎた、短すぎたもしくはできなかった
- 食事の時間がいつもと違った
- お散歩に行けなかった、お散歩時間がいつもより長かった、コースが違った
- お出かけした
- 新しい乗り物に乗った
- 新しいおもちゃに大興奮した
- 引っ越して新しい環境で暮らし始めた
- 実家へお泊りした
- 友達の家に遊びに行った、来客があった
- 外で一日工事をしていてうるさかった
- 天気が悪かった、暑かった、寒かった
赤ちゃんの夜泣きの原因は生物学的な生存戦略⁉
最後に、以上のような理由に思い当たることがなく、何をしても泣き止まない場合もあります。こうした夜泣きの原因については諸説ある中、数年前に興味深い研究が発表されています。ハーバード大学の進化生物学者によると、赤ちゃんは弟妹ができることを防ぐために夜泣きをするといいます。夜中に泣き授乳を促すことで母親の排卵期を遅らせ、次の妊娠を妨げているというのです。これは厳しい自然環境に囲まれた大昔には、弟妹ができることで赤ちゃん自身の生存率が下がったためと説明されています。夜泣きは、ヒトが生き残るために培った生物学的な生存戦略の名残りというわけです。(*2)
夜泣きは太古から赤ちゃんに備わる「生きるための知恵」?
夜泣く子を前に、何をしてもおさまらない場合は、この説を思い出し「あなたは生きるために一生懸命なのね」と少し距離置いて開き直ってしまうのも方法です。そうしてお世話をする親が肩の力を抜いてリラックスするほど、赤ちゃんも次第に落ち着いていきます。
赤ちゃんが泣くことで、親が不安になりイライラし、赤ちゃんがそうした親の様子を察知して余計に泣いてしまうといった悪循環に陥いってしまわないためにも、他に何ができるか、具体的にみてみましょう。赤ちゃんの夜泣きへの対処法10!
親の肌の温もりをたっぷり感じることが効果的な場合も。
- 昼夜のメリハリをつける
赤ちゃんは月齢が低いほど、昼夜の区別がついていません。ですから、日中はなるべく太陽に当たり明るい場所で賑やかに過ごすなど、赤ちゃんが昼と夜の違いを体感できるようにしてあげましょう。ただ、日中外出したり騒がしい場に出かけるなど活発に行動することで、夜、より興奮して泣く場合もありますから、その子に合った刺激を調節してあげたいです。 - 赤ちゃんの眠りの時間を表に記録する
夜泣きのある時間帯を毎日表にしてつけておくことで、眠りのパターンが見えてくることがあります。夜泣きのイライラから少し距離を置いて、赤ちゃんの睡眠を考えることが出来るでしょう。 - スキンシップをとる
たっぷりとスキンシップをとることで、落ち着く場合もあります。例えば、おっぱいをあげたり、抱きしめたり、添い寝をしたり、スリングで抱っこしたり、背中をさすってトントンしたり、ベビーマッサージをしたり、手や足を握るのもいいでしょう。 - 動きを取り入れる
膝の上にのせユラユラしたり、抱っこして歩き回ったり、ドライブに出かけ車の振動が伝わるのも気分転換になります。 - 毛布やバスタオルで体をくるむ
柔らかな布にキュッと包まれる感覚に、より安心することがあります。 - 環境を変える
別の部屋に行く、外の空気に当たる、抱っこして階段の上り下りをする、散歩をするなど、それまでとは違った場に移動することで気分が変わることがあります。 - 音楽や音を使う
ベルやオルゴール、子守唄や落ち着いた音楽やホワイトノイズなどを聞かせたり、赤ちゃんの耳元で「ねんねの時間ね」「しーっしーっ」などと言い続けるのもいいです。 - 部屋の中を真っ暗にする
外の明かりや豆電球の明かりにも敏感な赤ちゃんもいます。年齢がより上になり、暗闇を怖がるようならば、逆に小さなライトをつけ安心させてあげるのも方法です。 - 寝る前の儀式をする
ぬるめのお風呂に入ったり、絵本を読み聞かせてもらうなど、寝る前に決まった行動が繰り返されることで、赤ちゃんが徐々に「寝る時間がきた」と体感できるようにします。 - 親自身が休める時間を作る
世話をする親のストレスを敏感に感じ取る赤ちゃんもいます。ですから、親がより余裕を持って赤ちゃんに関われる状態を整える工夫が大切です。赤ちゃんが昼寝をしたりと休めるときにはできるだけ横になり、体力を温存しましょう。そして、一人が全てを担うのではなく、パートナーや親族や友人など、周りの人々とできるだけ負担を分担するよう話し合い、実践していきたいです。
以上のように、様々な工夫を試し、自身の家庭に合った方法を見出していきましょう。夜泣きは半年もすれば落ち着くものと念頭におき、赤ちゃんの個性を受け容れながら、周りに頼れるだけ頼り、この大変な時期をのりこえていきたいですね。暗く感じるトンネルをぬけた先には、必ず、一回り成長した我が子との出会いが待っています。
【参考資料】
(*1)「『乳幼児の夜泣きについて』の調査結果~夜泣きは期間限定!ママとなった実感を味わえるひととき~」『ルナルナ』ユーザーのアンケート調査「みんなの声」Vol.20
株式会社エムティーアイ
(*2)David Haig‘Troubled sleep: Night waking, breastfeeding and parent–offspring conflict ’2014 Evolution, Medicine, and Public Health, Volume 2014, Issue 1, 2014, Pages 32–39, https://doi.org/10.1093/emph/eou005
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