まずは災害の可能性についての「現状把握」を!
大切なことは、「いかに災害に遭わないようにするか」
そこで私たちは火災保険などにより、いざという時のための経済的備えをしているわけですが、そうはいっても火災保険とは、起こってしまった時の経済的ダメージを金銭で回復させるものに過ぎません。いまの暮らしを、すっかり元通りにすることは、残念ながらできないのです。
だからこそ、「災害に遭わないよう」そして「遭っても最小限の被害で済むよう」、対策を打つことが大切なのです。ただし、住んでいる場所や住まいの状況によって、どのような災害をどの程度受けやすいかは大きく異なります。
そこで、私たちのマイホームに、どのような災害に遭うリスクがあるのか、現状を把握し、災害を最小限に抑える対策を講じることがとても大切になります。
そのために、多くの市区町村で「ハザードマップ」が作成されていることをご存知でしょうか?
被害予測を地図にした「ハザードマップ」
ハザードマップとは、風水害や地震など自然災害の被害範囲・程度を予測し、それを地図で表したもの。各市区町村が作成しています。「洪水」「高潮」「土砂災害」「内水(ないすい)」「津波」「火山」などのハザードマップがありますが、地域の実情に応じ、これらのうちのどれかが作成されています。
自然災害による被害では、建物などモノの損害はもちろんですが、避難が遅れると命にかかわることが少なくありません。そこで、避難経路や避難場所などの防災情報とか、避難時の心得なども掲載されている自治体もあります。
下記のハザードマップは、東京新宿区のものです。2000年東海豪雨並みの雨(総雨量589mm、時間最大雨量114mm)が降った場合に、どこにどの程度の浸水被害が起こるかが示されています。浸水レベルが地域ごとにカラーで塗られていますから、被害予測が一目に分かりますね。
東京都新宿区のハザードマップ(一部)
ハザードマップの見方(凡例)
火災保険の補償選択も容易に
HP掲載がなければ、市区町村役場に問い合わせを
ハザードマップで罹災する可能性のある災害を把握することができたら、今度は火災保険でどのような補償を、どの程度確保すべきなのかも容易に判断できるはずです。例えば、どうやら水害や土砂崩れの危険はあまりなさそうだと分かれば、水害補償を外すことができるでしょう。可能性の薄い補償を削ることができれば、保険料の負担を抑えることもできるでしょう。
ハザードマップのもとは「土地条件図」
どんな土地だったのか?ぜひ確認してから購入を
土地条件図は、昭和34年の伊勢湾台風の洪水や高潮被害がきっかけに作成が始まりました。台風前後の濃尾平野の地形調査と、洪水の被害状況を比較検討したところ、土地と災害被害にかなりの関連性があることがわかったのです。そこで、昭和35年より土地条件の調査が始められることとなり、国土交通省の一機関である国土地理院により、土地条件図が作成されるようになったのです。
現在住んでいる場所はもちろんのこと、マイホーム購入を検討している場合でも、ハザードマップや土地条件図などを事前に確認することが欠かせません。住んでいる、あるいはこれから住もうとしている住所地に、どのような、そしてどの程度の災害リスクの可能性があるのか、知らずに対策を立てることはできないからです。
【関連リンク】
ハザードマップポータルサイト
火災保険の必要性2 自然災害に国の補償なし