「一線を画した物づくり。どこにもまねできない、そんなシステム手帳が作りたかったんです。」と語るのは、このマエストロ・システム手帳の生みの親、株式会社アクュードの近藤浩社長。
近藤氏は1980年代ファイロファックスを日本に初めて輸入した際に、その商社に在籍し日本向けのアレンジ、デザイン、品質管理を担当していた経歴の持ち主。言わば、システム手帳を知り尽くしたという人物だ。
その近藤氏はここ数年販売されているシステム手帳を見て、自分が心の底から欲しいと思えるものがないことに寂しさを感じ、ならばと自ら究極のシステム手帳を作ろうと思い立った。その思いに賛同したのが、コードバンをはじめ革のプロ、ブレイリオの上野克紘氏、良品計画や新丸ビルの生活デザインを手がけてきた山本秀夫氏だ。
アクュード社 MAESTRO システム手帳
ヌメ革の頂点と称されるブッテーロレザーを使用
シンプルなデザインの中に隠された数々のこだわり
カバーにはイタリアフィレンツェのワルビエ社だけが唯一作ることができるブッテーロレザーを使用。独特の植物タンニン(なめし)は革本来の風合いを残しつつ、深みのある美しい染色を特長としている。これは他社では決して真似できないものだそうだ。そのブッテーロレザーの中でも特級クラスの革だけを選りすぐりマエストロは作られている。
左/野山にある栗をイメージしたブラウン 右/天然藍染めを思わせるブルー |
左/深海をイメージしたブルーブラック 右/ルージュ・オランジェというヨーロッパ伝統のオレンジ |
特に、オレンジ色の発色はブッテーロならでは。派手すぎず、落ち着いた発色はとても美しい。また、このブッテーロはキズが付きやすい素材でもある。それ故、加工には細心の注意が必要となる。革職人としては、扱いが難しく、同時に腕の見せがいのある素材とも言える。
新品の状態だとかなり硬めの印象がある。かなり使い込んだものを手に取らせていただいたが、こちらは硬さは残しつつ程よいしなやかさも現れていた。これは、ブッテーロそのものの特性もあるが、表から見えない内張の部分に高級な本ヌメ革を使っていることによる。一般にこうしたところには合皮などが使われることが多いそうだ。
おもてからは見えない内張にも本ヌメ革を贅沢に使用
中のポケット類は必要最小限となっている。その中の一つには取り出し可能な名刺ケースもある。いざという名刺交換の時に、こうした独立ケースがあると助かる。また、ペンホルダーにも一工夫がある。一見すると見えないのだが、内側にゴムバンドが仕組まれている。これはペンのサイズにあわせて広がり出し、ピッタリとホールドさせるため。
左/取り外し可能な名刺入れ 右/メインとなるペンホルダーは付け根にゴムを使い太めのペンでもピッタリと収納可能 |