クセになる捺し心地
まず、スタンプ台でインクを付けるところから始める。円弧状なので、この作業もこれまでと全く違う。KOINをスタンプ台に対して垂直に立てて、ゴロンと円弧状の印面にまんべんなくインクが付着するようにする。左/これまでの実印の時のように垂直に立てて、右/手前側に転がす |
KOINを先ほどのスタンプ台の時と同じように垂直に立てるようにする。このとき、円弧状の印面の一番上の部分しか紙に接していない。
まっすぐだったKOINをゴロンと手前側に転がす。
転がしていくと、印面の上の方から次第に立ち上がっていく、その流れに任せていくと、最後には印面の下側だけが紙と接する状態になる、そこで印面を紙から離す。
するとどうだろう。くっきりとした印影が出来上がっている。
今回は前から後ろ側に転がしたが、その反対の後ろ側を最初に立てて前に転がすという方法も可能。要は、片道だけ転がせばいいのだ。いずれの場合も上下方向の転がしである。左右に転がってしまうのではと思われるかも知れないが、そもそも印面は上下方向の円弧状なので、左右には転がしたくとも転がせないようになっている。この上下方向の転がし具合があまりにも気持ちいいので、ついついゴロンゴロンと往復してしまいたくなるのが、そうしてしまうと、印影がダブってしまうので、その点は注意が必要。
これまで実印を捺すという時は、上から力任せにそれこそグリグリと押し込んでいたが、これは捺すというよりも、転がしながら捺す訳なので、「転写」という表現の方が適切かもしれない。開発のヒントとなったローラー印刷機の一部を切り取ってまさに転写しているようなイメージだ。
この転がして印を捺すというのは、慣れるまでやコツを習得する必要があるが、一番のポイントであるクッキリとした印影をつくるという点は確かに優れていると私も感じた。しかも、転がすだけなので、力をほとんど掛けなくてもいい。だから、自ずと紙に捺しジワというものもできない。さらに驚いたのは、これまでの実印では必需品だった印鑑マットを使わなくてもいいのだ。
次のページではKOINの開発秘話をご紹介。