2008年 ペン オブ ザ イヤーを発表
グラフ フォン ファーバーカステル
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グラフ フォン ファーバーカステル 2008ペンオブザイヤー「サテンウッド」 |
毎年ペーパーワールドで発表されるグラフ フォン ファーバーカステルのペン オブザ イヤー。2003年のスタート以来、マンモスの象牙やガルーシャなど、毎年ユニークな素材をボディに使った万年筆を発表し、注目を集めている。そして2008年の今年は「サテンウッド」。サテンウッドとは、日本では「栴檀(せんだん)」と、言われている木材。このペンは、インド産の上質なものが使われている。
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ファーバーカステルブティックを思わせる上質な雰囲気のブース |
このサテンウッドは、同社の長い歴史の中で、ゆかりのある素材である。代々続くファーバー家の中で、鉛筆の発展に大きく寄与した4代目当主ローター・フォン・ファーバー男爵の孫娘、オッテリー・フォン・ファーバー氏は、当時としては珍しい女性当主ながら同社の経営を発展させた人物としてその名を残している。
ドイツニュルンベルグのファーバーカステルの工場敷地内には19世紀初期に建てられたお城があり、その中には、当時彼女がプライベートサロンとして使っていた部屋が今も残されている。その部屋の内装や家具は、このサテンウッドの寄せ木細工で作られたものだった。この素材は香りがレモンに似ていることから、レモンウッドという名でも知られており、この部屋も「レモンルーム」と呼ばれるようになっていった。今回は、そのサテンウッドという素材を採用したという訳だ。
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ペン表面に施された世界最小の羽目板細工 |
サテンウッドはこれまでの歴代のペン オブ ザ イヤーのように希少性のある素材という訳ではない。しかし、寄せ木細工をペンに施したという点ではかなり画期的であると言える。サテンウッドは一般に家具など、大きなものに使われることが多く、こうしたペンのように小さく、しかも丸い表面を作り出すのは、大変に熟練した技術を必要とする。
触らせていただいたが、小さな一つ一つのパーツで組み合わされたものとは思えないほどの滑らかな仕上がりだった。ウッドを使ったペンはこれまでも多かったが、こうした寄せ木というものはペンとしては初の試みだとか。鉛筆メーカーとして木にこだわりのあるファーバーカステル社ならではのペンと言えよう。
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左/プラチナコーティングされたエンドキャップの中には、インクを吸入するノブが格納されている。右/エンドグリップには貴石シトリンが埋め込まれている。サテンウッドと相性がとてもよい |
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