このコマーシャルを懐かしいと思いおこされる方は、きっと30代以上ではないだろうか。かく言う私もその一人で、ちょうどその頃、小学3年生くらいだった。当時私はまだ、鉛筆をメインに使っていて、憧れの存在だったシャープペンへと乗り換えようかと思い悩んでいた頃だった。そんな矢先、シャープペンとボールペンが1本にまとまったというシャーボがセンセーショナルに登場したものだから、少年だった私の驚きようったらなかった。当時驚いたのは私だけではなかったようで、発売からわずか4か月間で80万本も売れたのだそうだ。
その一世を風靡したシャーボが30年ぶりに装いを新たに生まれ変わった。
ゼブラ シャーボ X
いろんな組み合わせが楽しめる
往年のシャーボらしさを残しつつ、
スッキリとしたデザインに仕上げられている。
スッキリとしたデザインに仕上げられている。
今回のシャーボ Xでは、「シャープペン」+「ボールペン」+「ボールペン」という3種類のペンが1本にまとめられるようになっている。選べるバリエーションは以下の通り。
■ シャープペン 3種類
0.3mm、0.5mm、0.7mm
■ 油性ボールペン(0.7mm)8色
黒、青、赤、緑、セピア、ボルドー、エバーグリーン、
ブルーブラック
■ ゲルインクボールペン(0.5mm)9色
ブラック、ロイヤルブルー、カーマインレッド、エメラルドグリーン、
セピア、ボルドー、エバーグリーン、ブルーブラック、蛍光マゼンタ
シャープペンが3種、ボールペンが17種類の中から、自分の好きな組み合わせを自由に選べるようになっている。
多機能ペンと言うと、油性ボールペンばかりの中で、今回はゲルインクも加わっているのは、個人的にとてもうれしい。やはり軽い筆圧で書けるゲルの魅力は捨てがたい。しかも、ペンのボディも私が今回手に入れたホワイト以外にもブラックやシルバーだけでなく、レッド、グリーン、ブラウンなど豊富なカラーバリエーションを持っている。
これまでの多機能ペンは、店頭で買う時に、すでにシャープペンや黒や赤といったボールペンが標準装備されているものだった。しかし、シャーボ Xがユニークなのは、ペンのボディ単体で売っていて、先ほどの様々な替え芯から自分の好きな替え芯を選んで買うというスタイルになっている。
既存の多機能ペンで満足できない人は、これまで自己責任のもと色々なメーカーの替え芯を自分の好みにあわせてセットして愉しんでいた。しかし、今回のシャーボ Xでは、これだけたくさんの替え芯のバリエーションがあるので、自己責任からメーカー責任の名のもと、思う存分カスタマイズを愉しめる。
シャープペンメカパーツは他社のものよりみやや長めになっている。ちなみに、3つともボールペンにしてしまうということはできない。それでは、「シャーボ」にならなくなってしまうというゼブラ社の意地もあるのだろうし、そもそもシャープの替え芯がボールペンの替え芯よりもやや短くなっているので、物理的に合わすことができないという事情もある。
私は、こんな組み合わせにしてみた。シャープペンシルは0.7mm、ボールペンはゲルインクのブルーブラックとボルドー。
私は、こんな組み合わせにしてみた。シャープペンシルは0.7mm、ボールペンはゲルインクのブルーブラックとボルドー。
万年筆好きにはうれしいカラーが用意されている。
まず、シャープペンを0.5mmという一般的なものではなく、あえて0.7mmにしたのは、個人的にあまり小さな文字を書くことよりも、むしろ大きな字を書くことの方が多いということと、ラフデザインみたいなものを書くこともあるので、ちょっと太めの0.7mmが何かと都合がいいからだ。そして、ボールペンはやはりせっかくなので、2本ともゲルインクタイプにしてみた。黒と赤という組み合わせでは、あまりに当たり前すぎて、シャーボ Xを使う意味合いが薄れてしまうような気がしたので、ここはこだわってブルーブラックとボルドーという組み合わせを選んでみた。万年筆のインクを思わせる落ち着いた色合いにすることで、自分だけの1本を持っているという満足感に浸ることができる。
シャーボ Xのカタログを見ていて、気になる言葉を見つけた。それは、ゲルインクボールペンは油性よりもインクの減りが早いという記述。ユーザーはみんなそのことをすでに肌で感じているものの、こうしてメーカー自ら正々堂々とゲルのインクが早く減ると言ってくれるのを見るのは、なんともすがすがしい気持ちでいっぱいになる。今回は、替え芯が4Cタイプと呼ばれる短めなタイプなので、いつも以上に減りを早く感じてしまうかもしれないので、ゼブラ社としても先手を打って釘をさしたのかもしれない。いずれにせよ、とても好感が持てる。