男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

一途さが結晶化したCLEMATIS その2(4ページ目)

靴と鞄の双方がオーダーできる銀座のCLEMATIS。前回の靴編に続き、今回は小松直幸さんが作る鞄を中心にご紹介! こちらも澄みきった作風ながら、一度使ったら絶対に手放せなくなる、妥協を知らない秀作ばかりです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

お互いの技術とセンスが、絶対の信頼を産み出す!

靴と鞄
CLEMATISでは靴と鞄、双方に仕立てられる革も取り揃えています。例えばこのイタリア産のベジタブルタンニンググレインレザーは、思わずお揃いで仕立てたくなってしまう逸品! 色はこのダークブラウンと黒の他にコニャックブラウンがあります。これと同じ仕様で価格は靴がそれぞれ1足\194,250、シューツリーは別売りでそれぞれ\17,000、鞄は\462,000(いずれも税込み)。


靴と鞄双方がオーダーできるCLEMATISは、革製品好きが抱いていた「こんなお店があったらいいのに!」が、極めて高い次元で実現してしまった店舗です。オープンからまだ半年余りしか経っていないにもかかわらず、どちらも納期は注文から約8カ月待ちと盛況で、一人で靴と鞄双方をオーダーされるお客様や、ご主人は靴・奥様はハンドバッグと仲良くご注文される方がいらっしゃる等、両者を扱う相乗効果も確実に表れてきています。そのような中、職人でもあり顧客からの相談にも応じる高野さん、そして小松さんにとっては、二人でお店を開いたことで新たな境地に達したことが幾つもあるようです。

その代表的な深化は「靴と鞄の世界って、似ているようで違っていて、それがまた楽しい」
同じ革製品でありながら、両者では革自体に求める性能や使う工具、それに技法などが結構異なることに改めて気付いたそうです。用いる革、仮に黒のボックスカーフを例にとると、靴の場合は屈曲性の良さが優先されるため、ある程度薄く・柔らかいものが理想とされ、お手入れで補色される前提があるため、色出しも染料主体のものが好まれる傾向にあるのですが、鞄の場合は張りと自立性の良さが優先されるため、靴より厚めで気持ち硬質なものが理想とされ、擦れて服に色移りしては問題になるので、色出しも顔料主体のものが好まれるとのことで、面白い位に対照的。でも、お互いがお互いの技術の「知らなかった!それはこっちでも使える!」を採り入れられる点ではそれが大いにプラスに作用していて、革や工具の仕入れには高野さん・小松さんの二人で行くことで、どちらに、或いはどちらにも使えるかを吟味し合うのが大変刺激になるとのことです。

もう一つの深化は「手を動かすだけでなく、接客を通じて、良い意味での『考える時間』が増えた」
CLEMATISでは製作そのものに関しては、靴は高野さん鞄は小松さんが店内のアトリエでどちらも全て一人で行っていますが、顧客がオーダーを相談する際には、靴であれ鞄であれ時間が許す限り双方が立ち会って話し合うスタイルを取っています。
「製作自体は互いに一人でやっているので、出来上がりに言い訳ができない環境なのです。だからこそ接客は極力二人ですることで、顧客が作品に求めているものを、より直接的にかつより客観的に把握するよう心掛けています。それを実際の作品にどう取り入れてゆこうか? 互いにお客様の顔が目に浮かぶので、創造的に悩む時間が必然、多くなりました」
とのことで、どうやらその分、一つ一つの作品に対する意気込みや技術も更に高次元なものになっているのは確実です。

取材の終わりに「自作のサンプルの中で、一番好きな作品は?」と尋ねたら、高野さんは 前回の最初のページに載せた黒のストレートチップ、小松さんは前のページにある黒のハンドバッグを持って来てくれました。どちらもシンプル、でも確かに飽きずに長く使えそうで、何よりカッコイイ! また、
「苦労して作るだけあって、作品はどれも自分の子供みたいな存在」
と語る二人だけあって、CLEMATISでは製作過程を追った写真を完成時に顧客に手渡ししてくれるのも、何とも嬉しいサービス。靴や鞄が見栄を張るステータスシンボルではなく、一途な二人と同様に「一緒に歳を取ってくれる分身」と考えられる方にとっては、この店は絶対的に信頼のおける存在になる筈ですよ!



【店データ】
CLEMATIS(クレマチス)
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座1-27-12 銀座渡辺ビル2F
地図: Yahoo!地図情報
Tel/Fax:03-3563-8200
営業時間:12:00~20:00 火曜定休
交通:東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅(11番出口)・新富町駅(2番出口)より共に徒歩6分。 都営地下鉄浅草線宝町駅(A1出口)より徒歩6分。東京メトロ銀座線銀座駅・京橋駅も利用可能(共に徒歩10分)
HP: CLEMATIS GINZA
バッグ価格:\178,500~(税込み。モデル・オプション等で変動します)
シューズ価格:\163,000~(税込み。製法・モデル・オプション等で変動します)
納期:バッグ・シューズ共に約8ヶ月

高野さんと小松さん
写真の向かって左が靴職人の高野圭太郎さん、右が鞄職人の小松直幸さんです。どちらも妥協を知らない、信頼すべき目をしています。アトリエのカーペットの色だけでなく、作業着もこのように明る目のグリーンなのもまたカッコイイ!

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