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深い思索が結晶化したCorno Bluの靴(2ページ目)

イタリアで修行し現在は福岡にアトリエを構える清角 豊氏が作るCorno Bluの誂え靴。その表情に感じる緻密さと大らかな温かさは、清角氏の技術のみならず、深い思索と丁寧な探究心が結晶化したものです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

虚飾の無い自然な曲面美!

 曲面美1
Corno Bluで作られたコンビ仕様のサイドレースアップシューズをアップで撮ってみました。様々な曲線が見事なまでに調和し、面の美にまで昇華しています。アッパーとかかと部の繋ぎ目の美しさにも注目!


食の豊かさと人情の厚さで、居住先としてのみならず単身赴任先としても人気の高い都市・福岡。広島に生まれ育った清角 豊氏も、大学卒業後の職域としてこの地と縁が生まれ、居心地の良さに恵まれる機会を得た一人です。1998年に一念発起してイタリアに渡航し、日本でも有名な靴職人であるロベルト・ウゴリーニ氏などの下で修業を積み重ねますが、その間も「帰国後は福岡で活動したい!」との思いは揺るがず、2003年にその地で「清角縫靴店」を開業することになります。

Corno Bluはその「清角縫靴店」のブランド名。修業先を記憶に留めたい思いで、自らの苗字をイタリア語に文字って取り込んだわけです(Corno=「角」、Blu=「深く青い」。以前のブランド名の先頭に付いていた”Il”は、イタリア語の男性名詞定冠詞)。因みに清角氏の前職はなんと都市計画関係のエンジニア! どの作品を見ても印象に「小振りではないまとまり」を感じさせるのも、その辺りと関係があるのかもしれませんが、Corno Bluのビスポークシューズの発注から完成までも、以下のように緻密かつ合理的な手順を踏んでゆきます。
  1. 顧客と共に靴のデザインを考える。
  2. サンプルシューズや触診なども活用し、顧客の足を採寸する。
  3. 1.2.をもとに、ベース木型に肉付け・削り込みを加え顧客オリジナルの木型を完成させる。
  4. 3.をもとに、靴のデザインパターン(紙型)をゼロから起こす。
  5. 4.をもとに、最終製品と同一素材の1ランク落ちる部位をアッパーに用いて、まず「トライアルシューズ」を作成する。
  6. 「トライアルシューズ」にて仮縫い。デザインやフィット感について顧客と意思疎通を図り、気になる点を伝えてもらう。
  7. 6.をもとに、木型やデザインパターンを修正する。
  8. 7.をもとに、本来のアッパー用の革を用いて「完成版の靴」を作製する。
  9. 製品が完成し、顧客に納品。


なお納期は仮縫いまでに約4ヶ月、そこから完成までに更に約3~4ヶ月が目安ですが、時期や混み具合によって変動し、また仮縫いは2回以上施す場合もあるそうです。これだけの時を経て生まれ出される靴は、前ページにも書いたとおり、とにかく一目見て記憶に残るほど曲線、いや線だけでなく曲「面」が美しい! 採寸から仕上げまで、どの工程も必要以上に力んだり飾り立てることなく、深い思索と洞察の結果産み出された自然な表情からは、履き手を新たな道に一歩踏み出させてくれるような「説得力」を感じるのです。


曲面美2
別の靴のつま先部をアップで撮ってみました。アッパーの「角の立させ方」が何とも自然ですが、この線を出すのには実はもの凄い時間と創意工夫を要するのです。出し縫いの緻密さにも目を奪われてしまいます。




最後のページでは、Corno Bluの靴の美しさの本質に、更に迫ります!
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