揺るぎない「気骨さ」を感じる靴
AUTHENTIC SHOE &Co. 2007春夏コレクションの外羽根式ウィングチップ。こちらも20世紀初期のアメリカの靴からヒントを得たもの。細いのに圧倒的な迫力と瑞々しさを感じます。 |
今、竹ヶ原さんの靴のラインナップは、ドレスシューズの「オーセンティック・シュー & コー(AUTHENTIC SHOE &Co.)」とカジュアルシューズ的な「フット・ザ・コーチャー(foot the coacher)」の2つ。いずれも靴の歴史を真正面から捉えた上で、彼の視点でそれを現代に妥協なく再投影させるのが共通のポリシー。革や縫製の品質・選択には見事なまでに最善を尽くし切っています。
また、こんなに手の込んだ商品であるにもかかわらず、作品をコレクション的に毎シーズン春夏・秋冬で総入れ替えしてしまうのもユニークなところ。ネタ切れしないのかな? と余計な心配もしてしまいますが、竹ヶ原さんいわく、
「持っている古い靴を思い浮かべたり、実際に見たり手にとったりすると、靴たちが自然と新たなアイデアを与えてくれます。」
これ、自らの信念がしっかり揺るぎないものだからこそできる、嬉しい答えじゃないですか! 思考の土台と柱が磐石だから、上屋根や壁がなんであろうと、長年色あせない建物が築ける「気丈さ」「気骨さ」が表に出てくるのです。自らのブランド、そして社名に「古き良きもの(AUTHENTIC)」と名付けた聡明さが、この言葉からも伝わってくる気がします。
履く場を自律的に「創造」したくなる!
foot the coacher 2007春夏コレクションのベルトサンダル。ストラップ部分の革素材を他とは微妙に変えてあるのが、彼の妥協の無さの証明です。 |
今、多くの日本男子は、世代に関係なくこの自律的な「気骨さ」を失ってしまって、見栄えが妙に脂ぎっている割には、中身に芯がないがゆえ、結果的に誰かに受動的に「支配されたい願望」を持たされてしまっている傾向が強まっていると思います。だから「モテたい」「愛されたい」「イイ男」… 冗談言っちゃいけないよ! その前に、人としてまずすることがあるだろ!
竹ヶ原さんの靴は、歴史を深堀することを通じて、そんな現状に警鐘を鳴らしてくれている存在なのだと思います。だから、そうだと判って履く人と、そうでない人が履くのとでは、似合う・似合わないの差が明確に出てしまう、「恐ろしい靴」です。でも、似合う人にとっては、使う場を自律的に「創造」できる、大変「頼もしい靴」でもあるのです。
例えば上の写真のようなベルトサンダル。本来はまあ、ショーツなどに合わせるカジュアルユースなのでしょうが、オフィスのデスクワーク用のサンダルとして使ってみるのはどうでしょう? ダークスーツ姿で深夜まで残業中、根詰まってしまい思わず履いている靴の踵を踏んづけたくなるような経験、誰でも一度はありますよね? そんな時に、こんなサンダルあると絶対便利ですよ。前半分は立派なドレスシューズの顔立ちであるにもかかわらず、踵がないので足元が確実にリラックスできるからです。流石にこれを履いて出先で商談、と言う訳にはいかないでしょうけど…
そうそう、竹ヶ原さんは靴創りだけでなく、趣味でウッドベース(コントラバス)を弾くのも大好きなのだそうです。他の楽器を下支えすることも多い、最も低く深い音を出すあの大きな弦楽器です。「深い音」がないと曲全体が前には進めないし、ましてや自由に歌うこともできない。ここまで彼の話を聴くと「やっぱり!」と言う感じです。さあ、今後はどんな演奏をしてくれるのか、彼の更なる展開に興味は尽きません!
【お問合せ先】
■Gallery of AUTHENTIC(ギャラリー・オブ・オーセンティック)
Tel 03-5412-6905
お問い合わせ受付時間:平日11:00~18:00
取り扱い店舗・価格等は上記にお問い合わせ願います。尚、本文でも触れましたが、写真の商品は2007年春夏限定のものです。