トリッカーズのカントリーブーツをいち早く認め、ブームとして捉えることなく、今も愛着もって付き合っている男は九州に多い。それはカントリーが無骨さ全開の靴で、彼らが“九州男児”のDNAを受け継いでいるからだろう。
最近、カントリーのような男臭い靴が減った気がする。とりわけモードの世界にその傾向は顕著で、ゲイ文化が根底にあるのだから当然といえば当然だけど、どこか頼りげない、線の細さを感じさせる。ヨーロッパメゾンを中心とするそんなクリエートに異を唱え、“男による、男のための服づくり”を謳ったのはタケオキクチのクリエイティブディレクターに就任、ファッション業界で話題のタイシノブクニだけど、同じベクトルでシューコレクションを発表しているデザイナーとして、ロエンの高原啓を押したい。
かつてはアルフレッド・バニスターのデザイナーとして、東コレでも活躍した高原。当時より“ヤンキートラッド”とでもいうべきテイストを感じさせたが、独立後、その世界観は一層深みを増した。
例えばクロコダイルの型押しをベースに、カウンター周りにハラコを配した一足(一番上)。あるいはカントリーブーツをモチーフにしつつ、トップラインからファーがはみ出た一足(一番下)。それらはトウスプリングをきかせたノーズの長いフォルム、がっしりしたヒールと見事に調和し、どこまでもアバンギャルドで、それでいて“男臭さ”がプンプン匂う。
ついでながら高原は、履き心地にも注力する。足入れの良し悪しを決定する木型から考え、インソールにはスパイクシューズでおなじみのショックアブソーバー(衝撃吸収剤)を採用する。
アクセやコスメがメンズ市場で賑わいを見せてるけど、そんな中性的な世の中だからこそ、高原のアクは一層引き立つ。そして、日本男児である以上、その部分に憧れを抱かずにいられない。そんなわけで、時にとんがりたいあなたのために、男の逸品にエントリー。
価格一番上3万1000円、二番目3万8000円、三番目左/3万3000円、右/2万7000円、四番目3万8000円。問/ロエンtel.03.5725.6797
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