服地のこと
既製スーツでときどき見ることがあるカルロ・バルベラ。オーナーはウェルドレッサーとして有名なルチアーノ・バルベラです。 |
パターンオーダーなら服地が選べてとうぜんなのだが、既製スーツの場合はそうはいかない。
しかし最近では既製スーツにも、名のあるイタリアやイギリスの服地が使用されることが多く、服地がスーツの価値を高めているのも事実。
イタリア服地・・・エルメネジルド・ゼニアやロロ・ピアーナ、カルロ・バルベラ、カノニコなど。ビエラ地方が有名。
イギリス服地・・・ハリソンズ・オブ・エジンバラ、エドウィン・ウッドハウス、マーティンソン、フィッシャーなど。ハダスフィールドが有名。←名門ミルのテーラー&ロッヂがあるところ。
有名なマーティンソンのフレスコ。ジャケットの内側に付けてあるので、タグの周りは裏地ですからね。 |
それぞれのミル(織り元)やマーチャント(服地商社)によっても個性があるだろうが、だいたいイタリア服地はラグジュアリー系を得意とし、イギリス服地は打ち込みがしっかりした肉厚の実用系といわれている。
ここ数年はイギリスの服地が見直されてきており、英国ハダスフィールドのマーティンソンのフレスコ(3本の強撚糸を使った平織ウール服地)や、昨年イセタンメンズが名門ミル、テーラー&ロッヂに、昔ながらのフライヤー織機で織らせた「フライヤースパンモヘア」など、かなり地味ながら盛り上がっているのだ。
エドウィン・ウッドハウスのエア・ウール。春夏の定番服地として人気があります。 |
定番ものではエドウィン・ウッドハウスのフレスコ服地の「エア・ウール」がおすすめ。最近はその軽量版「サマー・コンフォート」も出ている。
パターンオーダーならほぼ間違いなく選べる服地だが、既製スーツでも探せば使っているブランドがあるかもしれない。
ショップまわりをしたときに、ジャケットの内側をチラッと確認するといい。有名なミルやマーチャントのものなら、必ずタグを縫い付けている。
あと、スーパー○○’sといった表記を見るが、この数字が大きくなるほど繊維が細くなって、高級感が増す。
スーパー100’sや120’sで十分高級服地。この数字はあくまでも目安で、服地のブランドによっては価格も違ってくる。
既製スーツ選びは女性同伴で
そうそう、スーツに詳しい友人を連れて行くと、かえって迷います(笑)。とくに“スーツ選びに自信あり”と豪語する若い友人はもっとも危険です。
彼女か女性の友達に同行してもらい、厳しく「似合う」「似合わない」をハッキリ言ってもらったほうがいい。
S気味の女性のほうがズバズバと言ってくれるので、なおいいです。S気味でも母親は駄目ですからね。ジェネレーションギャップがありますから。
サイズや柄、素材、TPOのことは店員さんがとうぜん詳しいので、感性でチェックしてくれる、女性の冷たい視線が必要なんです。
もちろんこれまで述べてきたような、適正なフィット感を得られたスーツのなかでの、「似合う」「似合わない」の話です。
既製スーツと言っても、7万円~10万円はするわけだから、けっして安い金額じゃないです。
無駄金にしないように、体型とライフスタイルに合った良質のスーツを見つけてくださいね!
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