手縫いベルトの魅力
バックル取り付け部のギリギリまで手で縫っていくため、しっかり固定される。ミシン縫いでは不可能な安定感である。 |
縫製はワックスをかけた麻糸を使って、職人が一針一針手で縫っていく。
靴や鞄でもしばしば見られるあの縫い方である。そこそこ頑張っている高級既製ベルトを見ると、バックルが取り付けられる付近のみ手で糸が縫われていたりする。
この部分のみ手で縫っている理由は、表面の革をバックル部分で折り返すため、革が二重になってしまい、ミシンで縫うのが大変だからである。ときどきネジで留められているものもある。
手で縫うと丈夫であるという利点もあるが、バックルのギリギリまで縫うことができるため、バックルが固定されガタツキが少ないのである。
試しに持っているベルトのバックルを引っ張るといい。ミシン縫いのものはガタガタしているが、手縫いのものはしっかり留められているはずである。
裏側から見た写真。バックル取り付け部で表面(表側)の黒い革が折り返され、それを裏面(裏側)のオレンジ色の革で覆い隠している。バックルのギリギリまで手縫いされているのがよくわかる。 |
デュレはバックル部分で折り返した革を、裏面(裏側)の革で覆って手で縫っている。
折り返した部分は段差ができないように薄くすいているのだ。さらに裏面の革がバックルの取り付け部分のギリギリまで覆っている。つまり三重になった革を手で縫っているのである。
ここまでやっているブランドはジェイエムウエストンくらいしか知らない。ジョン ロブのビスポークベルトの詳細は把握していないのでコメントできない。
デュレの場合はこういう要所だけでなく、すべてが手縫いであることを忘れてはいけない。
ベルトループまで手縫いなのには驚いてしまう。また、コバの仕上げがとても丁寧で、その上から色がつけられている。
バックルは真鍮の削り出し
バックル取り付け部で表面(表側)の革が折り返されているが、先端をすいているため、あまり厚みが出ていない。ベルトのループも手縫いによるステッチ。バックルは真鍮の削り出しという贅沢品である。 |
また、バックルは真鍮の塊から削り出して、丁寧に磨かれたものを使用。使われている素材のすべてが高品質ということだ。
デュレほどのハイクオリティのベルトはまず百貨店では見つからないだろうし、鞄メーカーや靴メーカーでもなかなか出てくるものではない。
気軽にというわけにはいかないが、オーダーしてみる価値は十分にあるベルトである。
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