スイス・アルプスの麓には、バカンスを楽しむための風光明媚な山岳リゾートが幾つも点在します。なかでもアイガー・メンヒ・ユングフラウの三名峰に抱かれる美しい村、「氷河村」とうたわれるグリンデルワルトには、夏のシーズンだけをロングステイに訪れる日本人リピーターが少なくありません。なぜならユングフラウ一帯は長期滞在用のシャレー(貸別荘)がホテル客室数を上回るほど存在し、さらに冬のスキーシーズンは混雑するため、花々が咲き乱れる夏場が意外と安くて狙いどき。スイス・ロングステイの醍醐味とそのノウハウを特集します。
スイス山岳リゾートがロングステイにおすすめな理由
スイスアルプスの代表的滞在施設・三角屋根の可愛らしいシャレー
リゾートと聞けば、海沿いの温暖な地を想像するでしょう。しかしヨーロピアンの多くは長いウィンターシーズンを、麗峰望む美しい山岳リゾートで暮らすように過ごします。とりわけスイス・アルプスには、まだ私たちに馴染みの薄い長期滞在のしくみ=ホリデーアパートメントが数多く存在します。ホリデーアパートメントとはオーナーが所有する別荘を第三者に貸し出す、いわば貸別荘のこと。ホリデーフラットとも呼ばれます。例えばハワイならコンドミニアム、オーストラリアならサービスアパートメントなどをバケーション・レンタルする手法と似通います。しかし高層のマンションタイプではなく、スイスの山岳リゾートではシャレーと呼ばれる三角屋根の山小屋風一軒家を、ホリデーアパートメントと呼んで活用しています。
ホリデーアパートメントのなかには、オーナーが二階に暮らし、一階を滞在者に貸し出すケースも珍しくありません。長い年月をかけ編み出された観光地ならではのシステムで、日本の民宿にも似ていますが、大きな違いは自炊ができる点。特に
ユングフラウ一帯は、こうしたシャレーがホテル客室数を上回るほど多く存在します。
オーブンビルトインのシステムキッチンが主流
外観は木のぬくもりがする牧歌的なシャレーも、一歩足を踏み入れると広いリビングに独立した寝室、フルキッチンが併設され、内装はモダンなものからカントリー調までさまざま。家具や調度品、電気製品、調理器具、皿・カトラリー類が完備、水道高熱費を別途支払う必要もありません。料金体系は土曜イン・翌土曜アウトのウィークリーが基本ですが、デイリーやマンスリーで料金設定をして貸し出すケースも。
シャレーの長期滞在利用は、クリスマスからニューイヤーを挟んだヨーロピアンのバカンス時期、もっぱらスキーシーズンに最盛期を迎えます。ですから一般に冬は予約がとり辛く料金もピーク。逆にハイキングや湖遊覧に最適な初夏と初秋の時期はシャレーの予約がとりやすく、オフシーズンの料金設定になるのです。