軽快洒脱なFR、当意即妙な4WD
18iには最高出力150ps/最大トルク200Nmを発生する2リッター直4エンジンを搭載。25iには最高出力218ps/最大トルク280Nmを発生する3リッター直6エンジンを積む。インテークバルブのリフト量を可変制御するバルブトロニックや、ブレーキエネルギー回生システムなどにより燃費を抑制。10・15モード燃費は11.4km/l(18i)とした |
2グレード用意されているうちの、まずは安い方の二駆(FR)モデル(BMWでは最近sドライブと呼ぶ)、18iに乗ってみた。ややこしいが、18とはいいつつ1.8ではなくって2リッターの4発。6速ATを組み合わせている。
FRなのだから、SUVとはいえきっとキビキビ系のハンドリングに振ってあるのかと思って乗ったら、それほどでもない。実をいうと、BMWのアクティブステアリング非装着グレードは、皆さんがイメージするほどシャープでクイックなステアリングフィールではない。初期フィールはあくまでも粘りっこく重めで、切り込んでいくと車両の重量バランスのよさとシャシーセッティングの妙味で気持ちのいい自然なハンドリングをみせるというのが持ち味。18iはそれと全く同じ感覚だから、非アクティブステアリングのBMWらしい走りをみせてくれたと言っていい。
パワー的には、たとえば全開で追い越しをかけるような場面ではややかったるく感じるものの、必要十分だ。エンジンノイズは、4発でもきめの細いザラつきがあって心地いい。速度にさえのってしまえば、その走りは軽快のひとこと。妙な癖もなく、視界のいいワゴンといった感覚で乗れてしまうのも嬉しい。
Xドライブ25i+6ATにも試乗した。こちらもややこしくて、25というけれど3リッターの直6を積んでいる。3シリーズなどにも積まれているこのN52B30Aの中では最も非力なスペックだ。
走り出してすぐに感じたのは、FRに比べてさらに重厚だということ。ステアリングフィールに始まって、ノーズの向き加減、車体の動き、そして乗り心地など、すべてがさらにしっとりとしている。ただし、6発エンジンだけはスムースかつ軽快に吹けて、いかにもビーエムの直6らしい。
重めの印象だが、走りそのものはやはり4発よりも上質でパワー感も十分。4WDでもBMWらしい当意即妙な走りをみせてくれる点はさすがである。X5以降で培った、走りのSUV経験が十分に生かされた。
街乗りがメインというなら、軽妙洒脱なFRの安い方で十分。遠出したり、高速移動が多い人には、重厚で深みある4WDを奨める。
高いアイポイントにより運転時に安心感をもたらし、乗降性も良好なセミコマンド・シート・ポジションはXモデルに共通の特徴。電動パノラマサンルーフはオプション(20.3万円)となる |
40:20:40の分割可倒式リアシートを採用。リクライニング機能によりラゲージスペースは360~480リッターに変化、シートを倒すことで最大1350リッターまで拡大する |