ハードルーフでも崩れない、美しい4シーターオープン
LEDを用いた新デザインのリアコンビランプを備える。側面衝突や横転時に乗員を保護する、ドア内蔵カーテンエアバッグを採用。これはルーフを持たないC70専用に設計され、上方向に飛び出して膨らみ乗員の頭部を保護するもの。リアシート後部にはROPS(横転保護システム)バーも装備する |
3分割のリトラクタブルハードトップが実現するクーペ&カブリオレスタイルは、相変わらず美しい。ハードルーフオープンは、車形が小さくなればなるほど形に崩れが生じてしまう。プジョーはそこを逆手にとってユニークなスタイリングを浸透させたが、その他の小型ハードルーフCCはおしなべて不格好だ。C70には、それがない。そういう意味では、ひとクラス上のスタイリングであると言っていい。
だから、このクルマには都会が似合う。オープンカーにお似合いの、たとえば海山のリゾートあたりはかえって似合わない。スタイルがきれいにまとまっている分、そういう場所で映えるような華々しさには欠ける。ビジネススーツを着て、ビルの合間を颯爽と抜けるようなシーンの方がよく似合うと思う。そういう真面目さだって、ボルボの魅力だ。
ラグジュアリーパッケージ(40万円)がオプションで用意された。プレミアムソフトレザーシートやプレミアムサウンドシステム(DYNAUDIO製スピーカー採用)、死角情報提供システムのBLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)などを備える |
インテリアも変わった、とメーカーは言うが、雰囲気はさほど変わらない。メーターナセルの周りや、例のセンタースタックの一連の流れがキレイに整理されたくらい。せっかくのオープンカーだ。インテリアの質感はできるだけ高い方がいい。ソフトレザーにディナウディオのラグジュアリィパッケージを選んで欲しい。
フル4シーターということも、嬉しい。それを重視するならば、Dセグメントが相手になるから、お買い得な位置にあると思う。
先にも述べたように、日本仕様は2.5T5GT、すなわち230psの2.5リッター直5ターボエンジン+5AT搭載モデルのみという設定だ。このエンジンを積むことで、数字上のパフォーマンスではDセグメントに迫っている。
とはいえ、パワーを競うモデルではない。あくまでも余裕のために230psはある。そう考えると、多段化の進んだ時代にハイパワーターボエンジンと5段オートマチックの組み合わせは、特に華麗なオープンモデルであることを考えれば、スムースさという点で物足りないし、実際に乗ってみても力の出方がハナにつく。ドイツの進化したミッション(ダブルクラッチシステムなど)搭載車に比べてしまうと、やっぱりちょっと古くさい。
ちなみに、C30の145psモデルには既に6速のダブルクラッチシステムが積まれている。その展開を待ちたいものだ。