ひょっとして現代社会における奇跡かもしれない
最高出力170ps/最大トルク226Nmを発生する2.5リッターエンジンと、ルノーでは初となるCVTが組み合わせられた |
だから、こんなクルマに乗っていると、日々の移動が濃密になってとても充実する反面、目的地でのアレコレ(仕事だとか遊びだとか)なんて、もうどうでもよくなってしまうような気がしてならない。それを幸せと感じることができるか、どうか。きっと、フランス的人間性の重視、みたいなもんがその奥底に横たわっているんだと思う。なんでもかんでもクリック一発、答を知ったように思えてしまうプロセスレスな現代社会において、こういうクルマが未だに存在すること自体、ひょっとすると奇跡なのかも知れない。
で、こう思わずにはいられないのだった。プロセス重視に生きたいはずのボクが、どうして“おフランス”なクルマを思い切って自分の生活に取り入れることができないのだろうか、と。
自己分析をしてみれば、まず、クルマのプロセス=移動そのもの、の時間に求めるものが、まだ今の自分の欲求とは違っているということ。エンジンが精緻に回って音を出すとか、シャシーがダイレクトに動いて腰下に伝わって来るとか、そんなダイナミックなことが好きなうち(要するに、ちょっと子供っぽいってことかな)は、よくできたフランス車には、どうも行きづらい。
もうひとつ。クルマに対する欲求にオトナでいられて、よほど余裕がなければ、乗れないとも思う。流行りや廃り、格好、ファッション、スペック、最新技術……。メーカーが並べ立てる美辞麗句にいちいち反応しているうちは、乗れないだろう、たぶん。もうちょっと、歳を取ったら、これでよしとなるのだろうか。
あとは、格好かな。コレオスは、ちょっとファニー。ユニークであるのはいい。C6みたいに。ルノーでいえば、アヴァンタイムとか先代のメガ-ヌとか。できれば、もう少しエレガントさが欲しかった。顔とかね、なんかブサ可愛い感じがちょっと。コレオスにエレガントさがもう少しあれば、完璧だったのになあ……。
ともあれ、不思議と運転席に引き寄せられるクルマであることは確か。フランス車未経験の方なら、たぶん、ディーラー試乗一発で“なんじゃこれは!”となるに違いない。ええか悪いかは、別にして。
いっぺん、乗ってみてください。
やわらかな曲線を多用したデザインのインテリア。静粛性を高めるため、5層構造のフロントウインドウやウレタンなどの防音材が採用される。携帯するだけでロック解除やエンジンのスタート&ストップができるカードキー、ハンズフリーカードも用意した |
分割開閉式のテールゲートを採用。外側に30cm伸びる下部テールゲートは、耐荷重200kgで大人2人が楽に座れる |