日本でのリンカーン復活をになったキーモデル
ブランドコンセプト“モダン・アメリカン・ラグジュアリー”を体現する外観には、グリルからミラー、ベルトライン、アルミホイールなどにクロームパーツを採用 |
それにしても、実にもったいなかった。フォードの日本向けラインナップの話である。アメリカ本体が瀕死の状況で、GMとの合併を避けマツダ売却でその場を凌ごうとしているときに、“鼻くそ”のような日本市場のことなどかまっちゃおれんのが本音だろうが、日本戦略のふがいなさは何も今に始まった話ではない。ここ数年、日本市場への戦略には一貫性がまるでなく、政権末期のアメリカ大統領のように目先の判断ばかりが目についた。
初代トーラス、先代マスタングあたりまではそれでもアメリカ車/フォードの面目はたっていたのだ。しかし、その後は一転、ヨーロッパムードを高め、フォーカスやモンデオあたりがポテンヒットを記録したものの、デザイン性の問題もあってかアメリカモデルは鳴かず飛ばず。唯一、硬派で本格的、ツウ好みの鉄板SUV、エクスプローラーだけが堅実な人気を保つ程度。肝心のヨーロッパモデルもモデルチェンジを節目に、図ったように凋落して……。フォードはアメリカ車だけど、ヨーロッパ車もあって、という判り辛さも手伝って、そのイメージは悪くなる、というか、薄くなる一方だった。
結果論だが、打つ手は他にもあったと思う。マスタングをもっと早く導入できなかったか、シンボリックな存在としてフォードGTをちゃんと紹介できなかったか、強豪ひしめく欧州モデルを無視してもっとアメリカンばりばりなモデルを導入できなかったか……。
'08年5月から正規導入が開始された、8人乗りフルサイズSUVのリンカーンナビゲーター |
イメージが消えてしまった分、新たなチャンスがあると言っていい。