ベントレーブルックランズでしか味わえない世界
全長5411mm×全幅2078mm×全高1473mm、重量2655kg。価格は4070万円 |
まずは、ベントレーブルックランズである。ご存知サルーンのアルナージ系をベースとしたビッグクーペ。サルーンモデルに続いてオープンモデルのアズールを出し、最後に華麗なるクーペを出すという“順番”が何とも奥ゆかしい。
それにしても、この巨体はどうだ。全長5.4mに全幅2m。クーペとはいえ、リムジーン級のデカさである。
基本的なメカニズムはアルナージTと同じ。ただし、伝統の6.75リッターV8ターボエンジンはパワーアップされており、それに伴ってシャシーやブレーキにも手が入った。特にブレーキ。まるで丸テーブルのような大きさだ!
フィレンツェ郊外、赤ワインで有名なキャンティ地方にある瀟酒なヴィラを起点に試乗する。なるほど、こういう場所、建物、空間にお似合いのクルマではある。
室内は最上級のウッドやレザーを使い、ハンドメイドによって生産される |
すでにお馴染みのインテリアだ。機能的にはアルナージ系と同じ。配列、デザイン、すべてがアルナージオーナーには見慣れたもののはず。
搭載される6.7Lツインターボエンジンは537ps/1050N・mを発生 |
驚くべきことに、走り出せば“その巨体さ”をまったくもって感じさせない。もちろん物理的には大きい。が、必要以上にデカいクルマに乗っているというイメージが希薄だ。もし、そんなイメージが強ければ、狭いイタリアの田舎道を“飛ばせる”はずがない。
アルナージTと比べて、さらにはアズールと比べても、クルマの締まりが一段上。がっしりと幅広く路面をとらえているといった印象で、アルナージ系よりも“太い”印象がある。そして、最大の違いはブレーキ。アルナージ系ではブレーキを踏んでから制動が始まるまでに“ため”があって、それゆえかっくんブレーキにはならないが、ブルックランズはガツンと効く。それゆえに、安心してひらりひらりとキャンティ街道を優雅にこなすことができるのだった。
パワフルだけれども、優雅。もちろん高速クルーズも余裕しゃくしゃくで、精神的にも気分がいい。これはベントレーのクーペじゃないと味わえない世界である。日本で似合う景色や状況がそうそうあるとは思えないが、ここまできたらその状況を“積極的に変える”クルマとして扱いたい。そう、このクルマの半径数十m内を、貴族的な雰囲気に変えてしまうのだ!
クラス社会のない日本なら、お金さえあれば誰にでもできる。日本のクルマ好きに生まれて良かったと思う瞬間だ(ただし、稼がねば!)。
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