高級車の証「W型8気筒エンジン」が最廉価グレードと同額!?
VWの最上級モデル・フェートン(日本未導入)と同じW型エンジンを搭載するパサートの最上級グレードがパサートW8 4MOTION。ライバルに対し排気量が大きく上質でスムーズに回るW8エンジンと、戦略的な価格設定で勝負を挑んだのですが… |
2002年5月に発売が開始されたW8 4MOTION。メルセデス・ベンツで言えばCクラス、BMWなら3シリーズという競合がずらりと並ぶDセグメントの中において、4Lの排気量と4WDを備えた、パサートの堂々たるフラッグシップでした。その価格はセダンが529万円、ワゴンが541万円。当時の最廉価グレード、2.4Lの2WDモデルであるV5(セダン)が349万円ですからその差は180万円もありました。
ワゴンモデルの中古車価格は、セダンよりも高め。2004年式だと230万円以上します。また他グレードよりも高い価格で推移しています |
それが今やV型5気筒の、2WDモデルとほぼ同じ値段で買えるのですから、こんなおいしいことはありません。早速具体例を見てみましょう。2004年式のW8 4MOTIONが走行距離3.5万kmで158万円、同年式のV5が3.5万kmで157.7万円。いずれも修復歴&車検残なし。180万円もあった差は、わずか4年の歳月を経て消えてしまったのです!
中古車では、新車時のグレード間価格差が縮まることはよくあることですが、4年間で180万円が縮まることはそんなにはありません。これは推測ですが、4Lという大排気量が、このガソリン高で敬遠されたことが考えられます。さらに、そういったガソリン代も毎年の自動車税もものともしない人にとっては、パサートという記号より、もっとわかりやすく他人にアピールできる記号(どうせならもう1クラス上のメルセデス・ベンツEクラスを、とか)を求めるということも考えられます。
次ページで、本来あるべきはずの180万円の差をじっくりと見ていきましょう。