今回参加したのは、アイドラーズが主催する12時間+1分の耐久レース。96台がエントリーした。そのうち60台を占める旧型ミニがコース上、それ以外はピットから、午前8時にスタート。ところがBXのエンジンがかからない。すぐにピットに入れて修理が始まった。2CVは順調にスタートしたが、とにかく遅い。他のクルマが2分30秒ぐらいで周回するところを、4分30秒もかかっているのだ。これをレースと呼べるのだろうか?
2CVのドライバーは11人いて、30分ごとに交代する予定。30分後、最初のドライバーが戻ってきた。フロントフェンダーのあたりから煙が出ている。ブレーキオイルが沸いているようだ。しかも給油をすると、下からガソリンがジャージャー漏れ始めた。ちょうど修理が上がったBXと入れ替わるようにピットに入り、修理が始まる。前途多難だ。
30分足らずでガソリン漏れは収まり、ドライバーもチェンジして再びコースへ。僕は第3ドライバーだから、出番は次だ。レーシングスーツに着替え、ヘルメットをかぶろうとすると、監督のジミーから「まだ大丈夫ですよ」といわれてしまった。完全に緊張している。ピット裏のテントに戻り、「準備してください」との声を待つが、それに合わせて再びヘルメットをかぶろうとすると、「やっぱりまだでした」。モニターを見ると、グラベルにつかまっている2CVの姿があった。
数分後、2CVは自走で戻ってきた。クルマから降りてきたドライバーは、機関銃のように僕にアドバイスを浴びせてきた。あまりにも遅いのでコーナーは外側を走ったほうがいい、ギアは3速固定で大丈夫、ブレーキはペダルを4~5回踏まないと効いてくれない、コーナー立ち上がりでエンジンが息つきを起こす、などなど。ひとつひとつの言葉が、ジャブのように響いてくる。かなり深刻な状況みたいだ。