シトロエン/シトロエン

2CVで12時間耐久レースに挑む(3ページ目)

生まれて初めてレースに出た。いきなりの12時間耐久で、しかもマシンはシトロエン2CV。あまりにも無謀な挑戦の結果は……。

執筆者:森口 将之

とりあえずスタート。もてぎを走るのは初めてなので、まずはコースを覚えようとしたが、それどころじゃなかった。危険なぐらいに遅いのだ。コーナーでインにつこうものなら、後続車が束になって襲撃してくる。一団が通り過ぎるまで、じっと貝になっているしかない。外側を走るのは、自分の身を守るためだったのだ。コーナーの間の直線も、どこを走るかは後ろしだい。他車がいないすきに、あわてて車線変更をすませる。信号のない道路を急いで渡る歩行者みたいだ。



なんとかコースが頭に入った。さあペースアップだと思ってホームストレートを加速し、第1コーナー進入でブレーキング。ところがまったく効かない。反射的に右足をバタバタ動かすと、2CVはようやく減速したが、この間の数秒がとても長く感じられた。予想よりは軽いステアリングを切り、ひっくり返りそうなロールに昔を懐かしんだあと、今度は右足をアクセルへ。ところがゴボゴボいって加速しない。車体が傾きすぎて、ガソリンが行かなくなっているのだ。



それでもブレーキは、4~5回踏むと必ず効いてくれることがわかった。立ち上がりでの息つきは右コーナーだけで、クルマを早めにまっすぐにすると、症状を抑えることができた。この2つは持病みたいなもの、これから半日、うまくつき合っていくしかない。それよりもタイムだ。まがりなりにも僕は自動車ジャーナリスト。普通の人より遅かったら恥だ。なんとか4分台に入れるようにと祈りながら、2CVを操った。



信じられないことが起こった。ピットサインで表示されたラップタイムが、他の人より速いのだ。ベストは4分2秒で、30秒近くも縮めている。でもこのときは、なんで?という気持ちのほうが大きくて、もっといいタイムを出してやろうなどとは全然思わなかった。それにまだ1時間ちょっとしかたっていない。ステアリングを握っていないドライバーがたくさんいるのだ。その前にリタイヤしたら、何をいわれるかわからない。そんなことを考えているうちにピットインのサインが出て、無事に次のドライバーにステアリングを渡すことができた。

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